黄昏のエロゲ感想/a>

黄昏のエロゲ感想

エロゲ感想ブログ たまにオススメ書いたりする。

オススメの伝奇ゲー5選+α

内容説明

今回はオススメの田舎エロゲーを4つ選んでみました。
舞台が田舎であることのみで選んだので作品の評判はバラバラ
これから暑くなってくる時期なので夏ゲーが多めになっています。


作品リスト







作品紹介


痕〜きずあと〜

公式サイト: https://leaf.aquaplus.jp/product/kizuato/

参考価格:3000〜4000円

概要
やはり伝奇ゲーと言ったらコレ!
伝奇というジャンルを作り上げた作品で2度リメイクされるほどの人気作品です。 序盤に事件が展開されルートを進めるにつれてその原因や由縁などが明らかになっていくオーソドックスな構成で分かりやすく纏まったシナリオとなっています。
その他、おまけパートにも力が入っておりシリアス多めの本編とのギャップでついつい笑ってしまうような場面も多いです。

舞台が田舎の村で田舎ゲーとしてもレベルが高いのが個人的にも好印象


注意点
2009年に発売されたリメイク品には初代には無いストーリー(おまけエピソードでは無く、しっかりと本編に関係してくる設定)が追加されています。

こちらは、やや評判が悪く設定を崩すような展開があるので気になるの方は2002年のリメイク品、又は2009年版に付属で付いてくる初代をプレイする事をオススメします。















雪影

公式サイト:閉鎖

参考価格:4000〜4500円

概要
雪国舞台の姉ゲー 一応シナリオゲー枠ですが抜きゲーばりにHシーンが多く(ほぼ単独ヒロインでシーン数が30越え)イチャラブシーンも多いのが特徴
市場に溢れている伝奇ゲーとは一線を画する作品で多くの作品に触れている人ほど騙され、驚きも大きいかと思います。
詳しく書くとネタバレになってしまうので、ここでは省きますが、ライターの頑張りが伝わってくるストーリーです。


注意点
この作品も上で紹介した痕と同じくリメイク品が存在します。しかしストーリーが未完成で発売されておりハッキリ言ってしまえば地雷扱いされています。
なので、購入はリメイク前にしておくのがオススメです。















灯穂奇譚

公式サイト: http://www.mizu-kagami.jp/tousui/tousui_index.html

参考価格:1000〜2000円

概要
民俗学がテーマの作品で自分が伝奇ゲーで一番好きな作品を挙げろと言われたら、本作を選びます。それほどまでに凄い作品です。
何が凄いかと言うと民俗学部分の作り込み、そのものです。実際の史実とオリジナルの設定を違和感なく混じり合わせ
展開されるストーリーは素晴らしいの一言

また同人ゲーですが、音楽 CG 演出 システム面においても商業モノと肩を並べるレベルで、この点も評価できます。本記事で一番のオススメは間違いなく「灯穂奇譚」です!


注意点
終盤でシナリオの流れが方向転換するのが注意点かもしれません。
メインである伝奇部分の出来が良いだけにガッカリくるかも… とは言え中盤まででも十分お釣りが来るぐらいの名作なので、是非やってみてください。













消えた世界と月と少女

サイト: http://hiyoko-soft.com/sp/

参考価格:3000〜4000円

概要
異能バトル要素を足して、起伏が少なく人によっては退屈に感じることのある伝奇モノのエンタメ性を高めた作品
そのため序盤からワクワクした展開が続くので初心者向けと言えるでしょう。

肝心のシナリオも多少アラはありますが、それなりに設定が作り込まれているので考察しがいがあり、ある程度作品をこなした方でも楽しむことができるかと思います。


注意点
上で初心者向けと書きましたが、それは作品全体を指してのものであり、シナリオ面のみで見た場合は少々難解な面があるので注意が必要です。
もっとも大筋を理解するだけなら、そこまで頭を使う必要も無いので大袈裟かもしれませんが……














月影のシミュラク

サイト: http://www.high-level.jp/product/tuki/

参考価格:4500〜5000円

概要
伝奇ゲー代表メーカー あっぷりけから出た館モノ
シンセミアやコンチェルトノートのような目立った部分は無いが、安定したシナリオが魅力的です。プレイ時間10時間程度と気軽にできる点もよし

あっぷりけの中でもシンセミアに次いで好きな作品なので、沢山の方にプレイしてもらいたい一本です。



注意点
特にこれといった問題点は無いかと思います。あえて挙げるならば値段に対してボリュームが少ないのでコスパが悪いことぐらいか…





祝姫(全年齢)

サイト: http://07th-expansion.net/ih/

参考価格:5000円

概要
ひぐらしの鳴く頃にで有名な竜騎士07氏がシナリオを手がけたギャルゲー
全年齢ではありますが、割とギリギリを攻めており直接的では無く比喩ではありますが、レイプや幼児の性的被害などの表現も出てきます。 なんなら、今回紹介した作品の中でもダントツでダークかも…
過激な表現が多い割にシナリオ自体はかなり基本に忠実でシンプルに楽しめる出来栄えです。因みにホラー要素が結構多いので、その手のストーリーが好きな人には堪らないかもしれません。


注意点
エンディング後に後日談的なエピソード(結構長め)があるのですが プレイ後の余韻をぶち壊す上に内容も良いとは言えないので、読まない方が無難…






最後に
今回選んだタイトルは、どれも面白くプレイしがいのある作品たちですので是非是非やってみてください。

送電塔のミメイ 感想

作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
送電塔のミメイは同人サークル「TRUE REMEMBRANCE」から出された、サウンドノベルゲーム2作目です。
何処と無くヨーロッパっぽい雰囲気でファンタジー色の強い1作目とは様変わりし、和風テイストの伝奇モノとして進んでいく作品です。 システム面やキャラデザ、演出に関してもクオリティが向上しており、EDではアニメーションも追加されていたことから製作者も力を入れていた事が伝わってきます。

個人的な意見になりますが、TRUE REMEMBRANCEよりも本作の方が良い作品であったと感じました。




[評価点]
シナリオ:A-
キャラ:B+
ビジュアル:B+
世界観:A-
演出:B
音楽:B+
オススメ度:A

総合点 79点





考察(ネタバレ有)


●ミメイの正体に関して
のっけから、一番盛り上がるであろう、終盤のネタバラシについて触れていきたいと思います。
本作は序盤に「夜刀=コゴリの鬼」「ミメイ=鬼を祓う者」として説明され、以降もその様に進んでいきます。 しかし終盤にて一転「夜刀=鬼に憑かれた者」「ミメイ=コゴリの鬼(元祖)」と判明 今までの伏線が回収される構成となっています。


[伏線の一部]

・ミメイの髪が昔は長かった=夜刀のあったコゴリの鬼(元祖)は長髪

・やたら、ミメイの両親はまだ現存している事を強調した描写

・ミメイがやってきたのは夏であるのに、故郷は雪が降っていた発言=来た時期の差異(過去にミメイ(人間)が島に来た時は冬、ミメイ(鬼)が現れたのは夏)

等々…etc...etc…細かい伏線なども含めれば、まだまだあると思われます。


この様な序盤で提示されていた情報と逆の展開を終盤に持ってくるの手法は前作のTRUE REMEMBRANCEでも使われており、2作続けてプレイした自分としては、やや新鮮味に欠けてしまいました。
この部分は、もう少し違う展開 又は描写にする方が良かったのでは…と思ったり思わなかったり…



●演出に関して
本作はサウンドノベル(ボイス無し)という事もあってか、BGMにも力が入っていた様に感じました。 恐らくはフリー音源だとは思いますが、よく吟味して選んだのか主となる旋律を強調しつつも世界観を壊さない様な曲が多かったです。

またBGM以外の演出面も素晴らしく
一番印象的だったのは、EDムービー内のCGと夜刀目線の文章でミメイ消滅後の表現をしていた部分です。
この様な描写は商業モノでもたまに見受けられ(金恋、ナツメグひこうき雲の向こう側等々)個人的にも非常に刺さる演出なので、かなり印象に残りました。






●全体を通して
前作と比較するとメッセージ性が大きく損なわれている分 エンターテイメント性が大きく向上、フリーゲーム補正抜きに考えても伏線回収や演出、ストーリーなど良く出来ており商業モノと比較しても見劣りしない作品であると思います。






まとめ
目立った所があるわけでは無いですが、要所要所に光る点が見受けられ自分的にも満足のいく作品です。個人制作だと思いますが、それ故に出せるモノを全部出しつくした作品なのでしょう。
総プレイ時間3〜4時間と短くプレイしやすいので伝奇や田舎系のシナリオが好きな方には是非やって見てほしいです。

雨のマージナル 感想


作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
雨のマージナルは「ステージなな」から出された中では珍しいナルキッソスシリーズ以外の作品です。(初代ナルキッソス発売以前の二次創作物は除く)
その為 ストーリー上でのナルキッソスとの関連性はありません。
しかしながら描写に、何処と無くナルキみを感じる場面が多々ありましたので、出来ればナルキ後に本作をプレイするのが推奨です。

ファンタジー色強めのショートストーリーで1〜2時間ほどでやり終える事ができるので、結構オススメ。
片岡ともさんの描く世界観が好きな人には是非読んでいただきたい作品です!





[評価点]
シナリオ:B-
キャラ:B+
ビジュアル:A
世界観:A+
演出:B
音楽:A
オススメ度:A

総合点 76点





考察(ネタバレ有)


●ナルキとの関連性について
作品概要でも述べましたが、本作はナルキッソスを彷彿とさせる描写が多いです。 例を挙げると

・リンとセツミの口調が類似

・白石工務店の椅子

・河岸(砂浜)での追いかけっこ

・おまけにあるショートエピソード

などなど…etc...etc..


他にも少し捻ったものだと主人公が雨の世界へ行ったエレベーターが8F(余命宣告者が集う7Fの更に一つ上=死後により近いしい世界)で停止する事なども、もしかしたら意識して描かれた部分なのかもしれません。


リストアップしてみるとナルキっぽい描写を片岡ともさんが意図的に作中内で散りばめていた事がよく分かります。 それだけナルキッソス という作品はライターにとって思い出深い作品なのだと、よく分かります。




●テーマについて
上でナルキとの類似性を述べましたが、相違点もあります。 それはメインテーマについてです。

まずナルキについてですが、「急な日常の変化に伴う絶望や諦関・生きた証の受け継ぎ」などが主となるテーマです。

一方で雨のマージナルでは、序盤の死も生も選べない主人公の心境や一人で雨の世界で暮らすリンの感情を以ってして「変わらない日常、恒常的な世界への悲観」が描かれています。
これは真逆とも言えるテーマで、終盤でリンが現実に戻る際に郎女に記憶を消される場面など(展開上、完全に消去されたわけでは無いが…)ある意味では、ナルキシリーズ共通テーマである「受け継ぎ」を全否定しているようなものです。

私はライターの意思を読み取るタイプの考察は苦手なので何ともですが、片岡ともさん的には平和と退屈を履き違えるなと伝えたかったとか思ったりしました。




●全体を通して
本作は超短編+設定の説明が割と多いなどの事からメッセージ性や単純なストーリー性は片岡ともさんが書いた他の作品に比べて弱く、どちらかと言えば雰囲気の描写に力を入れていたように感じました。
また盛り上がりや感動シーンも薄味なので期待しすぎると痛い目を見るかもしれません。しかしながら全体的には完成度が高いのでオススメ度は結構高いです。
個人的には満足のいく作品でした。





まとめ
ステージななの中では、やや評価が低いですが流石は片岡ともさん 一定以上の水準には仕上がっていました。 こうなってくると、これから手を付ける冬のポラリスやバブルテーマの次回作にも期待が高まるところ…
ねこねこ及びステージななには、これからも良い作品を出していって貰いたいものです…

あくまでこれは〜の物語 感想

作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
シンソウノイズで話題になったメーカー Azuriteの2作品目 前作と同じくDMMGAMESでの認証が必須で中古での購入が難しいため他メーカーに比べ、やや敷居が高いものとなっており、チャレンジ精神溢れる変わり種系のジャンルでプレイヤーの予想を裏切る奇抜なストーリーです。
絵柄的に可愛らしくキャラゲーのような印象を受ける人も多いかもしれませんが、一皮剥けば萌え重視とは程遠くライターの尖った思想が伝わってくる作品となっています。


[評価点]
シナリオ:B
キャラ:A
ビジュアル:A
世界観:B
演出:B
音楽:S
オススメ度:B

総合点 76点





考察(ネタバレ有)











本作はネタバレを見てしまうと、作品の良さが激減してしまいます。
プレイ済み、もしくはネタバレOKという方のみ以降の記事を読むようにしてください。
















●ギミックについて
前半部分のAパートと伏線回収のBパートの関係性についてが、本作品における一番の目玉にして最大のギミックと言えます。

そのギミックとは何なのか?
完結に説明するならば、プレイヤーが読み進めるAパートは、主人公城一の息子である肇の書いた小説の中の出来事だったというものです。

これは、伏線を無理やり回収する力技のようなもので二度は出来ない方法です。
Aパートはブツ切りENDが多く、伏線もまるで回収できていない キャラの言動や目的も理解出来しづらいなど一つの読み物としてかなりお粗末です。 その理由は小説家としては未成熟な肇が書いた物語だったから…という訳です。

これならば、どれだけグチャグチャなストーリーでもそれ自体全てが伏線となるので、ある意味では最強の回収方法と言えます。





●ギミックに関しての感想
上で説明した小説の中だったオチですが個人的には、思ったほどの衝撃はありませんでした。この理由は構成ミスにあると私は考えました。
Aパート終了後、直ぐに肇視点で物語が始まるため最初はいきなり視点が変わったことに戸惑います。しかしある程度読み進めれば、肇=城一の息子と予測する事が容易に出来てしまいます。

これはBパート開始から肇が主人公の体験した夏を小説として書き始めるまでが長い事が原因あると言えます。「Aパートは実は肇の書いた小説の中だった!」と突然告げられるというよりも「これこれこういった流れだから、Aパートは小説の世界なんだよ〜」と丁寧に説明されている気分になってしまう訳です。

丁寧な描写が悪いとは言いませんが前半10時間以上引っ張ってきたネタバラシを行う際には蛇足であると言わざる得ません。特に今回のような一発ネタの場合、多少強引だったとしても読み手が感づく前に答えを出してしまうべきであると思いました。





●Hシーンについて
ギミックだけでは非処女ヒロインや陵辱シーンもどきの存在などからもライターの挑戦的な意図が伝わってきました。

本作の絵柄は、事前知識無しに見たら、殆どがキャラゲーだと感じるほど可愛らしい絵柄です。だからこそヒロインが非処女であったり、陵辱が行われることでギャップが生まれます。しかしコレもギミックと同じく中途半端な印象を受けました。非処女とはいえ彼氏とは別れていたり、挿入無しの陵辱であったりとどっちつかずです。少しでも陵辱要素が出た時点で、イチャラブ好きからの評価は得られなくなってしまうのは分かりきった事である訳です。ならば、いっそのこと振り切ったレイプシーンなどを入れるなどして尖りきった作品に仕上げるべきだと個人的には考えてしまいました…





●テーマについて
他の作品と比較しても本作はかなりメッセージ性の強い作品です。それらは、以下の項目についてのライターの否定的な意見が多く描写されていました。


・ソシャゲの課金
・ネット依存症
・ネットでの暴言
・LINEの危険性
SNSライブチャットで未成年淫行等々…


まとめてしまえばネット社会への批判と警笛です。このテーマについて、とやかくいう気は有りませんがネットに触れる機会が多くツイッターや他のSNSをやっている人が多いエロゲーマーという人種に対してエロゲというパソコン(ネット)を利用した媒体で書く内容では無いんじゃ無いかな〜と思ってしまいます。
情報化社会の時代に取り残されたライターの理不尽な怒りが伝わってくるようで、微妙な気分になってしまいます。

ただメッセージ性という意味では過去 類に見ないほど強い思いを感じたのである意味ではライターの思惑通りになってしまったのかなー?とか考えたり考えなかったり…







気になった点

●タイトルについて
某批評サイトにてタイトルの意味について触れられてる書き込みがいくつか見受けられました。それらを要約するとタイトルの意味が深いといったものになります。
しかし私的にはイマイチ「あくまでこれは〜の物語」というタイトルを上手く考える事が出来ず、開始時に出てきた「あくまでこれははじめの物語」という文章から、本作は全て主人公(城一)では無く、その息子(肇)の物語だよ程度の解釈しかできませんでした…… 批評空間では 深い意味について詳しく書かれていなかったので、理解出来た方がいたら教えて欲しかったりしますw





まとめ

要所要所で光る部分はあるが、全体で見たらパワー不足感が否めない本作
ギミックの奇抜さで勝負するならば、ネット批判などの無駄なメッセージ性など入れずにシナリオの面白さ一本で堂々と書いて欲しかったです。

総合的にはやや期待はずれ
少しズレれば好みドンピシャの作品になっていた可能性があるだけに凄く残念です。評価点はギミックと原画、OPの貢献度がかなり大きいかな…

アメイジング・グレイス 感想

作品紹介・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
2018年ごろの発売直後から一気に話題を掻っ攫った作品です。
内容としては、キリスト教を軸にサスペンスとファンタジーを織り交ぜた感じ?
伏線回収がメインの作品ですが、ありがちな難解さや人を選ぶ設定が無く、言ってしまえば究極の番人向けシナリオです。
自分は割とハードル上がった状態でプレイしたのですが、それでも十二分に楽しめたので、予約して買った勢の衝撃は凄かっただろうと想像に難くありません。

[評価点]
シナリオ:S
キャラ:A
ビジュアル:A-
世界観:A
演出:B-
音楽:B-
オススメ度:S+

総合点 86点



評価点詳細(ネタバレ有)












[評価点詳細]

・シナリオ:S
文字通り素晴らしいシナリオでした。
メインの伏線回収は勿論の事、ギャグシーンが多い訳では無いのに日常シーンであまり退屈しない事から会話のテンポなどに気を使っているのが感じ取れます。
話題になるのも当たり前…


・キャラ:A
テンプレと言えばテンプレですが、ただ1人キリエに関して他と比べても図抜けています。
自分は終盤のネタバラシ直前まで騙されたままでした…


・ビジュアル:A-
可愛いらしい絵柄ですが、ややファンシー過ぎる気がしなくも無いです…
このせいで評判が良くても手に取りづらい人がいても不思議では無いと思います。 もう少し作風にあったキャラデザの方が良かった感

・世界観:A-
広義でのクローズドサークルな舞台設定とヨーロッパと日本の文化が入り混じって、何とも言えない世界観に仕上がっています。


・演出:B-
本作のやや残念な部分…頑張っているとは思うのですが、もう少し工夫が欲しかったです。
特に終盤でタイトルでもあるアメイジンググレイスがBGMとして流れる演出が、ユネの歌う場面では無くサクヤの告白で使われたのは納得いきませんでした。


・音楽:B-
クリスマスソングのアレンジcerなどは良いのですが、オリジナルのBGMがとにかく地味で印象に残りづらいです。
もう少し頑張って欲しかった…


・オススメ度:S+
システムがイマイチなのとBGM、演出が平凡である事以外は、ほぼ全てにおいて一級品なので、プレイして損は絶対にしないと言えます。
個人的にもかなりオススメ


考察・気になった点

[考察]

●構成について
本作は少し変わった構成をしていたのが特徴です。一般的に伏線回収に力を入れた作品は、ヒロインの個別ルートで伏線を張って、最後のトゥルールートでそれらを回収するのがよくある流れです。
一方でアメグレはキリエ→サクヤ→コトハ→ユネorサクヤといった流れで進んでいきトゥルーENDや所謂メインヒロインENDが無く ユネorサクヤルートでもキリエやコトハに見せ場を作り(何ならキリエが一番美味しい場面を持っていったまである) ヒロイン毎の差が広がり過ぎないように配慮されていた節が感じられます。
このような他との違いも人気作となった要因の一つでは無いのかと考えられます。




●伏線について
本作の一番の見せ場で基本的には、分かりやすく丁寧に描写されている事が多いです。その為ある程度のプレイ本数をこなした人だと予想で来てしまう展開は多いかもしれません。実際 自分の場合は、サクヤのループや実行犯ギドウ先輩である事 街の存在理由などは当てる事が出来てしまいました。

ですが、ある程度までは予想できても一番盛り上がる部分である文字の存在とキリエの演技に関してを見破る事が出来る人は多く無いと思います。

特にキリエの演技は、
・爆発シーンの無いアンナの映画をリスペクト
・キリエルートラストの発言
・女優キリエの大ファン
・学園長のテストに引っかからない等々

爆発好きが演技である知った上でプレイすると、これでもかと分かりやすく描写されているのにも関わらず最後まで見破ることが出来ませんでした。
キャラ付けの為の設定は、シナリオにあまり組み込まれないといったある種のメタ的な面の裏をかいた素晴らしい設定だと思います。

その他の伏線に関しても、ギドウが見張ってる馬小屋の馬が不自然に放たれたりサクヤの差し入れが枕カバーからタオルに変わるなど、分かりやすく且つ不自然では無い表現や描写がされていました。
もののあはれは賽の頃の琥珀ルートでも思いましたが、アメグレでも、やはりこのライターは天才なのでは?と思ってしまいましたw




●リラについて
割と直球の伏線貼りやストーリー展開だったアメグレの中であった唯一のミスリードが、リラの正体についてです。
終盤まで意図的にリラ=リリィ先生だと思わせる描写が多いように感じました。
(リリィ先生ルートで待ち合わせに来なかった直後にラジオ放送、名前の響きが似ている、主人公の聞き覚えのある声等々)

結局リラの正体は時を巡るアンナでしたが、ネタバラシの時は思ったよりアッサリ気味で盛り上がりに欠けたのでわざわざミスリードっぽくする必要があったかな〜?とは思いました。





●アンナについて
二代目の街フォークランド出身で聖アレイア学園の生徒、尚且つ主人公と同じように青の林檎を食べた者として登場したアンナ。
不自然に主人公を助けた部分や私の時発言 フォークランドが一代目と三代目の街とは違い何事も無く機能停止した事から恐らくは、林檎の力でフォークランドでのアポカリプスを食い止めた人物なのだと推測出来ます。

因みにミスリードであったリリィ先生との関係性はEDムービーにリリィ エヴァーハルトとアンナ エヴァーハルトが並んでいたことから親子で確定だと言えます。



●テーマについて
本作のテーマは変化と停滞だと私は考えました。キリエ&サクヤルートでは壁を突破して逃げる事で変化を、コトハ&ユネルートでは壁の中で生き残る道を選んだ事で停滞を表現していました。
その為どちらが悪くてどちらが良いと作中では明言されていませんが変化にしろ停滞にしろ自分の状況知った上で選ぶ事が重要なのだといえます。
各ENDのアフターストーリーでも外の世界(自分の状況)を知った上で街に残る(停滞の)選択をしている事からも、この事は分かります。

テーマに関しての率直なまとめとして、アメグレはメッセージ性はそこまで重要視してないように感じました。



[気になった点]
やはり一番気になったのは、環境&システム面です。システム音量設定なし、オートモードにすると画面の端にずっとオートモード中のマークが出続ける等々。もう少し頑張って欲しかったかなといった感じ。

次に気になったのは伏線関係です。本作のライターは、物凄く丁寧に伏線を貼っており ポッと出の展開をしないようにしていたとプレイしていて思いました。
しかし唯一 サクヤとギドウの兄妹設定に関しては、特に伏線が無いように感じ(一応サクヤがギドウのチェスに一番付き合ってくれるなどはあったが…)この点はストーリーでも割と重要な部分だったので何だったんだろーなー?と思ってしまいました。


総評
[総評]
例えるなら万人向けを極限まで面白くしたといった印象の本作品。
基本に忠実で分かりやすい初心者向けのシナリオ且つある程度プレイした人でも十分楽しめるギミックを交えたストーリーで個人的にも大満足の出来でした。このライターさんの作品は次も買おうと思わせてくれるぐらいには良い作品!
総合的に見れば名作といっても過言では無いと言えます。

Omegaの視界 感想


もくじ









作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
比較的マイナーな同人ギャルゲーで全4部作からなるシリーズ物のギャルゲー
ジャンルとしては伝奇モノで、独特なテキスト表現や設定の深さ、伏せ字を多用した伏線の貼り方などなど、理解するのに時間かかるため、考察が好きな方にオススメできる一本です。
逆に言えば、かなり気合を入れてやらないと前半部分で嫌になってやめてしまう方もいるかもしれません…


[評価点]

シナリオ:A+
キャラ:S+
ビジュアル:S
世界観:A
演出:B
音楽:A
オススメ度:D-

総合点 89点



作品概要・評価点詳細(ネタバレ有)











[評価点詳細]


・シナリオ:A+
大筋のストーリー自体はありがちですが、設定の練り込み具合と大量の伏線を
張り巡らして尚且つそれらを回収怠らなかったのが評価点です。


・キャラ:S+
メインとなる登場人物達はしっかりとキャラが立っており、それぞれの役割に沿った魅せ方がされています。
特にメインヒロイン?である宮さんは、悪役なのに憎めない、けれど好きにもなれない そのギリギリのラインを攻めた良いキャラ設定で非常に魅力的に見えました。


・ビジュアル:S
古さを感じさせない絵で可愛さの中に、何処と無く不気味さを感じるデザインです。個人的にキャラ設定と並んで本作の高評価ポイント


・世界観:A
ネコを中心に伝奇や魔法、SFなどを肉付けされた世界観
一見小難しいく感じますが、読み込めばそれほど理解しづらいものでは無いのも好印象です。


・演出:B
印象に残っている演出は1章シキのはじまりのラスト、タイトルの伏線回収とネコ語からのEDはかなり良かったです。
しかし、それ以外がイマイチパッとしなかったので、もう少し頑張って欲しかった感はある…


・音楽:A
印象的なBGMが多かったように思います。 あまり其方界隈には詳しくないので確証はありませんが、なんでも音ゲーで有名な方がBGM担当をされてるらしいです。


・オススメ度:D-
評価点自体は高いですが、やはり難解さがトップクラスなのでオススメはできません。
初心者だけでは無くある程度エロゲに慣れた人でも少し厳しい作品かもしれないです。




考察・気になった点

[考察]

まずは、用語やシナリオの最終的なまとめからしていきたいと思います。

アキかけたシキのアイまでの考察はこちら(https://erg0327.hatenablog.jp/entry/2020/01/28/175203)なので先にこっちを読んでからの方が理解しやすいかもしれません。





●用語説明

本編に出てきた重要な用語を簡単に説明していきたいと思います。


・魔眼の刺し手
男の魔眼質の事
特にGW(GreenWood)と呼ばれるものは直接ネコガミと同化する事ができ、戦闘能力が格段に上がる。
Omegaの視界では、3人の魔眼の刺し手が登場した。(主人公、貴奴、カルロサ)


・雫
雫を持つ人物がいるだけで、その周りで事件やらが起きる能力
簡単に言ってしまえば主人公体質兼主人公補正のこと。


・三重偉大
魔眼の刺し手、イツワ(10番目)の継承者、雫の3つを持ち合わせた人物のこと。


・ツェロル
ネコガミを自然発生させるもの
本編では結局登場することは無かった。


・C
CAT 要はネコガミの事


・D
DOG ネコガミが移行して次のステップへ進んだ存在
利己的で他者を利用する孤高の存在であるCに対して集団に属し人を信じる性質を持つ。










●WCLについて

ミルハとカルロサがLuLeから逃亡後に作った組織
下部組織にネコガミを宿した紙(封紙)を使用するcoven


・coven
WCL傘下の組織、ネコガミ遣いと洗脳されたLuLeの残党から成る集団で主にネコガミの回収を行なっている。


・飯窪家
イツワ(10番目)が魔眼の刺し手に取り憑き世代を紡いだ家系
8相が所持しているイツワ(1〜8番目)を取り戻す為にWCLの仲間となる。


・月狂跳
ネコガミを宿した封紙の事
それぞれ得意な役割があり 役割ごとPHASE1〜10のナンバーが割り振られている。以下がその特徴

1:斬撃による攻撃
2:隠匿や防衛などの守り
3:治癒
4:作成や改造
5:洗脳
6:相手の力の吸収
7:力の増幅、限界突破
8:不明
9:飛行能力
10:取り憑き能力


・WCLの目的
基本的な目的は、月狂跳の回収 魔眼の刺し手の完成 ツェロル回収等だが、一番の目的は楽しむ事であり、LuLeとのいざこざもWCLにとってはゲーム感覚の遊び扱いしている。










●LuLeについて

アリスの血を濃く受け継いだ8人の魔女とその信者達の組織


・WE
8人の魔女が使役するネコガミの集団


・8相
レミリアを連れて逃げ出したエンドルが選律と共に作り上げた、ネコガミ遣いの家系 各家系ごとにイツワのかけら(1〜7番目)を所持しており得意な分野が決まっている。


・LuLeの目的
カルロサとミルハによって壊滅させられたLuLe及びWEの再構築と、それに伴うベロアとミリアムの若返り。


・冬夏が8相を憎んでいた理由
男のネコガミ遣い(魔眼の刺し手)が8相の家系に生まれるたびに処分(殺害)されている事を知ってしまったから。
基本的には1相である綾目が処理係で冬夏の代では姫様が担当していた。











●個人ごとの目的

WCLとLuLeも一枚岩では無く それぞれに思惑があったので、それらをまとめてみたいと思います。


・カルロサの目的
妹であるミルハに遊びを提供すると共に自分自身も楽しむ事が出来るゲームを作り上げる事


・選律の目的
ミリアムとベロアを殺害して、事実上の8相ボスになる事


・西石貴奴(音)の目的
8相が所持しているイツワのかけらを集め、男から女の身体へと移行する事


・道具の目的
不明
貴奴のための行動にも見えるが全体的によく分からない行動が多い。
最後に自分の役割はまだあるような事を呟いて消えたが、その伏線は回収されていない。








●過去にあった出来事


・LuLeとWCLの過去

魔女の始祖アリス誕生

アリスの血を引いた8人の魔女とその賛同者による組織「LuLe」と魔女の使い魔であるネコの組織「WE」の誕生

LuLeの仲間?である白のミルハとその兄(男の魔眼持ち)が逃亡 (兄が妹の為にしたなにかがLuLeの怒りをかったせい?)

兄妹を追った最強のネコ 黒のイツワ(LuLeの仲間?)が魔眼の刺し手(逃げた兄妹の仲間)と相討ちになる

イツワは1〜10に分裂し、10番目が魔眼の刺し手の死体に取り憑く

逃げた兄妹は魔眼使いを集め(WCL、coven誕生?)LuLeの襲う

兄妹に撃破される事を恐れたエンドルがドレミリアを連れて日本へ逃亡
この時に選律と出会い 8人の素質のある魔眼持ちを集めて8相(綾目、三春、永久、奇士、玉梓、玖威、狩屋、大黒(ミリアムの代理?))が誕生

レミリア、エンドル、ミリアム以外のLuLeメンバーを改心又は撃破成功

ミリアムがドレミリアを連れた選律と出会う、 ミリアムは、この時壊滅したLuLeの再結成を決意

レミリア死亡、エンドル記憶操作はこの時期か?

黒のイツワ(10番目)が魔眼の刺し手の家系に顕現、8相から残りのイツワ(1〜8番目)を取り返すため白のミルハの仲間になる

その後作中の時間軸で、LuLe側とWCLの対立進行中




・主人公の過去

ミルハとの話し合いでWCLの傘下にくだったイツワ(10番目)が主人公の身体を奪い転生

この際イツワ(10番目)はイツワ(9番目)が発見されるまで眠る事になっていたがミルハを疑い、そばで見張る為に自信の記憶にロックをかけた。

つまり主人公の人格=記憶を失ったイツワ(10番目)となる。

数年後に主人公(イツワ)は記憶を失った状態で、道具、貴奴、冬夏、姫様、カルロサと海岸で出会う。

この時にカルロサ、冬夏と共にシロ(人形に扮したネコガミ)を砂浜に埋める

以降記憶を失ったまま作中の時間軸へ


・西石貴奴(音)の過去
玖威家にて男として誕生、規則に従い殺処分になる筈だったが道具により真然名無へと引き渡される。

道具により教育を受け成長

数年後、主人公や冬夏と海岸で会合

男でありながら主人公に恋をしてしまう。(この時の感情が後に起こす8相殺しの直接的な原因となる)

以降作中の時間軸まで成長










●本作のメインテーマ

本作品のメインとなるテーマは、「対称な二つの違い」であると考えます。
C(猫)とD(犬)、Y(男)とX(女)、黒(イツワ)と白(ミルハ)、WCLとLuLe等、作中で様々な対象となる物や人物が登場します。この2つは相反するだけあって、お互いの事を理解することは決して出来ず双方 自分の方が正しいと思って行動をしています。それ故に争う事あったとしても、お互いに理解できなくとも、寄り添って生きていくことは出来る。
簡単な文章になってしまいましたがライターが表現したかったのはこんな感じのことなのかなぁって思います。


なんかフェミニストとオタクみたい…










●未回収の伏線

・福音光輝十二の悲劇
シキのはじまり序盤で出てきた単語だが 以降一度も登場せず、結局何の事なのか一切不明


・イツワ(9番目)の行方
EDムービーに出てきたコトハネが9番目である事は間違い無いが作中では結局登場せず、ムービー内でかれおの手に渡っている事が判明したのが違和感


デウスエクスマキナ
全てを終わらせる機械仕掛けの神らしいが結局顕現する事は無く謎のまま。


・エンドルファについて
レミリアを連れ去り8相誕生のきっかけとなって人物で真然名無によって記憶を戻されている場面まであるのに結局招待が判明せず終わってしまった。
状況的に判断するならば、同じく名無によって記憶をいじられていた描写があるチノが最も怪しいが断定は出来ない。










●疑問点

・カルロサとミリアムの確執
カルロサが何を行なってミリアムと対立したのかが不明瞭
死んだミルハの人格をネコガミの身体へと移したのだと推測出来るが、なぜそれがミリアムの怒りを買ったのかが不明


・魔眼の刺し手について
イツワ(10全)と刺し違えた刺し手の身体は、人格がネコガミに移り不要となったミルハの骸だと思われる。しかしながら、その骸に入り込んでいた人格が不明
最も可能性が高いのはミルハが移ったネコガミの人格か?











総評

[総評]

読みにくい文章と難解な設定、絵柄やBGMが良くても最後まで完走出来る人は多く無いであろう内容です。
しかし商業モノでは表現できない本作のような人を選ぶ一点集中型の作品は同人ならではのモノであり続編も是非プレイしてみたい…そんな風に思える出来栄えでした。総合的にはかなりの良作であると感じました。

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