黄昏のエロゲ感想/a>

黄昏のエロゲ感想

エロゲ感想ブログ たまにオススメ書いたりする。

サクラノモリドリーマーズ 感想

作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]


[評価点]
シナリオ:B-
キャラ:B+
ビジュアル:A
世界観:A
演出:A-
音楽:B+
オススメ度:B+

総合点 73点



作品概要・評価点詳細(ネタバレ有)












[作品概要]


[評価点詳細]

・シナリオ:B-
共通は楽しめたが個別ルートが今ひとつ伸び悩んだ印象
共通ラストの成仏をトゥルールート枠として追加するなどの方法を取れば締まりも良くなったかもしれません。


・世界観:A
ボダッハを中心にホラー重視で展開されていきます。特にプロローグのワクワク感は見事です。
もっともそこからの失速していきますが…


考察・気になった点

[考察]

●メインテーマ

本作では共通と個別、暮羽ルート毎に異なるテーマが主として据えられていたので、それらについて考察していきます。



『共通ルート』

共通では加害者側の心理 特に「異常性愛」についてに焦点が当てられていました。 以下が各章にでてきた性愛をまとめたものです。


1章:カニバリズム (守安明雄)

2章:対物性愛 (葛木朋成)

3章:サディズム (塔野沢亜里砂)

4章ホモセクシャル (塚田良平)


このように各章のメインとなる人物はそれぞれ異なった性愛感情を有しており、塚田以外ボダッハ赤に取り憑かれ殺人犯としてサクラノモリドリーマーズに倒されています。
このことからもライターが異常性愛=悪として描いた事は明白です。(塚田に関しては殺人をしたわけでは無く、被害者(レイプした事は置いておく)としての面が大きいため、同性愛は否定していないと思います。





『個別ルート』
個別ルートでは、共通とは正反対に被害者と残された遺族に焦点の当てられたストーリーとなっていました。

簡潔にまとめるならば「死んだものに囚われて、その場で停滞しておらずに自分の道を進め」がテーマです。これはまどか成仏時の追いついた追いつかないのやり取りからも分かります。


しかしながら、このテーマは共通に比べると力の入れ具合があまり感じられず、とりあえず個別のシナリオ困ったからこれにしとけ感が凄かったです。
もともとシリアス調が有名なライターなので明るい話は得意じゃないせいかもしれませんが…




『暮羽ルート』
ヒロインが暮羽である必要が少なく実質秀さんルート…

ここでは秀さんと共通の犯人たちとの一番の違いが挙げられています。それは何か?
答えは、単純で人を(性的な意味も含めて)好きになるかならないかです。

秀さんは幼少期に性器をダメにされる+人に執着しない事から異常性愛により殺人を行なっていたモノとは根本的に違う事が分かります。
主人公や両親に対して執着していたような描写があるが、これは自分の存在理由を確立するためのもので裏を返せば自分自信に執着しているのと同義と言えます。

ライターがどのような意図を持ってこのような差異を描写したのかは不明ですが、この違いによりジョーカーとその他との明確な差別化ができており個人的には良い設定であると思います。


肝心のテーマですが、ここでは自己の確立について述べられています。
自らを悪と設定し主人公を正義とする事で存在理由 自己の確立をしようとした秀さん
結果としてのは主人公に殺されなかったせいで自己の確立が達成できず、自己が無い=空っぽ=思い出す現実となり
思い出す現実が無いから深層から抜け出せないといった結末を迎えてしまいました。







[気になった点]
やはり個別の失速具合が1番気になりました。メインルート扱いであろう暮羽ルートもイマイチ乗り切らず、プロローグ>共通>個別の順で面白いのは如何なものかと思います。
基本的に名作と呼ばれる作品は終盤になるにつれて面白くなる、又は大トリを飾る場面だけが最高に良い事が多いので、それだけで本作は名作になり得ないとも言えましょう。
期待していただけに少し残念な結果です…


総評
[総評]
総合的に見ると自分的には評価が低い作品となってしまいました。
73点という点もキャラデザとプロローグ+共通の面白さといった部分が大きいです。
人には進めませんが、地雷レベルでは無いのでやって損はないかなぁ…といった具合です。







※同ライターの明日出逢った少女もオススメなのでできたらやってみてください…

スカーレット 感想

作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
日常に焦点を当てたシナリオが目立つねこねこソフトの中で非日常をテーマに描かれた比較的珍しいと思われる本作品

設定もハードボイルド系の映画にあってもおかしくないようなもので、退屈に感じるシーンの少ないエンタメ性の高いストーリーです。 それ故にねこ作品の中でも知名度が特に高く人気のあるタイトルと言えるでしょう。


[評価点]
シナリオ:A+
キャラ:A
ビジュアル:B+
世界観:A
演出:B
音楽:B
オススメ度:A

総合点 79点



作品概要・評価点詳細(ネタバレ有)












[評価点詳細]
一部特記すべきと思った評価項目の詳細を書いています。


・シナリオ:A+
当たり前の大切さといった人によっては助長に感じがちのテーマを取っ付き易く描いた良シナリオ
日常の対となる非日常を避けるべき障害では無く 表面上はアニメや漫画のような若者が憧れる世界としていたのは非常に高評価ポイントです。


・キャラ:A
やや短めの割に人数が多いので掘り下げが足りないキャラもややいますが、それを考慮しても十分魅力的です。
ちなみに自分のお気に入りはナセルとしずかでしかね〜


・オススメ度:A
思い立ったように始めても、腰を据えて始めても楽しめる作品なのでかなりオススメできます。



考察・気になった点

[考察]

●スカーレットにおける非日常
主軸となるテーマは「当たり前の日常のありがたみ」です。同メーカーのラムネなどでは、事故という非日常を用いて日常を壊し、当たり前を失う事でありがたみを表現していました。 この手法は後々の作品にも使われています。

一方でスカーレットに関しては少し違い非日常を「憧れや退屈しない世界」として描かれています。事実主人公である明人は自ら非日常の世界へと進んでいます。 この序盤での出来事が本作における重要なポイントとして最終盤まで深く関係していきます。





●スカーレットにおける日常
非日常が一般人による憧れの存在ならば「日常」は、しずか・九郎といった高級諜報員やエレナ・イリカといった重病人などの人達が求める幸せとして描かれています。
この事は3、4章にて重点的に描写されていました。





●日常と非日常の対比
上で説明した通りスカーレット内では「日常と非日常」を片や憧れ 片や得られぬ幸せへの渇望と設定しています。
これをシンプルに考えるならば非日常を求める者は今ある幸せを理解せずに一時の感情で平和を捨てるという事になります。
しかしながら、主人公である明人も最後にはしずかと共に捨てたはずの日常を選択しています。つまりライターにとって結局日常の幸せとは、それを失って初めて分かる幸せだと言いたいのだと思います。これは初めに触れたラムネと結局は同じ結論であると言えます。


この結論でいくと非日常の世界に身を置き続ける事にした九郎は幸せを知らぬままになってしまいます。

果たしてそうでしょうか?
自身も作中にて発言しているように九郎は生まれながらの諜報員で、ある程度成長してから別当家に入ったしずかや一般人の憧れから弟子入りした明人とは全く別物です。
つまり九郎にとっては非日常こそが日常であり本人が気づいていないだけで既に当たり前の幸せに身を置いているのだと私は考えました。




●しずかとイリカの違い
メインテーマとは少しズレますが、3章にてクローン問題についても書かれていました。 クローンで生まれた子供に人権はあるのか、オリジナルのコピーでしか無いのかといった点です。

率直に言うと、この問題は否定されています。レオンがしずかの臓器を使えなかった事からも明らかです。
何よりキャラの時点からエレナ イリカペアとしずかは大きく差別かされてデザインされています。(二人に比べて強気な性格、凹凸の少ないひんぬー体系、ショートカットなどなど)

よってライターはしずかをイリカとは全く別の人間だと捉えていると考えられます。






[気になった点]
物語序盤 主人公が学校へと復帰した際、しずかと同じ金髪の少女に声をかけています。 わざわざ立ち絵を出してまでの演出だったのでのちに関係してくると思いきや、なんの伏線回収も無かったので少し気になりました。 なんだったんですかね?



総評
[総評]
全体的に少し短めで諜報員パート掘り下げに甘い部分があること以外は高水準に仕上がった作品です。
ねこ作品の中でもかなりとっつき易い方だとは思うので、初心者にもオススメできます。
ただ個人的にはもう少し、テキストに片岡ともさんらしさを出しても良かったかな〜っといった感じです。エンタメ性を高めるためにあの独特の雰囲気を犠牲にしているように感じました。
無人島パートでは所々らしさが見受けられたのでこの場面をもう少し長くしてくれたら大満足のいく出来栄えであったと言い切れたと思います。好みドストライクにはあと一歩及ばずといったところ 残念…

ANGEL TYPE 感想

作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
minoriから出された本作品は正直同メーカーの中では知名度も低く、それに準じて評価もパッとしないものとなっています。
しかしながら、BGMや作品全体の描写および雰囲気などには一部目を引かれるものがあります。(事実自分もパケ絵に惹かれてプレイしましたw)
静かな作品が好きな方、特に一風変わった学園モノに興味がある方にオススメの作品です。


[評価点]
シナリオ:B
キャラ:B
ビジュアル:A-
世界観:A
演出:B
音楽:B
オススメ度:B+

総合点 72点



作品概要・評価点詳細(ネタバレ有)












[評価点詳細]
一部特記すべきと思った評価項目の詳細を書いています。


・シナリオ:B
テーマというか、ライターの書きたい事がフワッとしているのか分かりませんが全体的に薄味で訴えかけてくるものがありませんでした。
一部のルートや、部分的な良さが垣間見えるだけに少々残念…


・ビジュアル:A
時代を考えれば十分綺麗と言えます。
何より作風にピッタリの絵柄でタイトルにもあるANGEL 天使っぽさがどことなく伝えわってくるのが良いですね〜


・世界観:A
定時制の学校、鬱、トラウマ等の暗い設定がよく表現されていました。
極力明るい場面を移さないようにされていて全体的に静かで、しかしながらどことなく陰鬱とした世界観が魅力的です。



考察・気になった点

[考察]

●メインテーマ
本作をやっていて1番思ったのはテーマのブレです。どのルートも結論として何が言いたいのかよく分からず、尻切れトンボで終わっているENDが多いです。
主人公の心の病も、未憂の思いも、砂緒のピアノに対するトラウマも、詩希の猫に対する執着も、全て理由が不透明でパッとしないものとなっています。

よって私は、このボンヤリとした部分こそがメインテーマなのでは無いかと考えました。 要は、思春期特有の行き場の無い不安を、理由なき恐怖などを作品全体をハッキリさせないことで表現したという訳です。

とはいえ、仮にこれが本当にライターの思惑であったとしても、唐突に終わるラストやキャラに感情移入しずらい点などは 許容できるものではなく、このような手法は諸刃の剣だなーといったところ…
もう少しエンターテイメント性 終盤などの盛り上げさえしっかりとさせていれば名作になりえたかもしれないだけに残念




[気になった点]
やはり全体を通して水っぽいシナリオある点が気になりました。 せっかく世界観を巧く表現していても肝心のシナリオがイマイチだと良さも半減です。プレイしていて静かなのと薄味は違うと感じました。
コメディやバトル要素などの派手さはなくとも面白い作品というのは、ライターの力量がフルに出るので中々難しいとは思いますが、それでも頑張って欲しかったです…



総評
[総評]
割と酷評はしましたが、全体的には悪くない佳作だと思います。
わざわざ腰を据えてやるぞー!とまではいきませんが、プレイ時間も短く、値段も手頃なので箸休めにちょっと休憩的な気分でプレイするのに最適です。
特に迷子教室やユメミルクスリ等の作品が好きな人ならば、それなりに楽しんでやれるのでは無いかなーといった感じです。
まぁ…気になった方はやってみても良いかもしれません。

オススメの伝奇ゲー5選+α

内容説明

今回はオススメの田舎エロゲーを4つ選んでみました。
舞台が田舎であることのみで選んだので作品の評判はバラバラ
これから暑くなってくる時期なので夏ゲーが多めになっています。


作品リスト







作品紹介


痕〜きずあと〜

公式サイト: https://leaf.aquaplus.jp/product/kizuato/

参考価格:3000〜4000円

概要
やはり伝奇ゲーと言ったらコレ!
伝奇というジャンルを作り上げた作品で2度リメイクされるほどの人気作品です。 序盤に事件が展開されルートを進めるにつれてその原因や由縁などが明らかになっていくオーソドックスな構成で分かりやすく纏まったシナリオとなっています。
その他、おまけパートにも力が入っておりシリアス多めの本編とのギャップでついつい笑ってしまうような場面も多いです。

舞台が田舎の村で田舎ゲーとしてもレベルが高いのが個人的にも好印象


注意点
2009年に発売されたリメイク品には初代には無いストーリー(おまけエピソードでは無く、しっかりと本編に関係してくる設定)が追加されています。

こちらは、やや評判が悪く設定を崩すような展開があるので気になるの方は2002年のリメイク品、又は2009年版に付属で付いてくる初代をプレイする事をオススメします。















雪影

公式サイト:閉鎖

参考価格:4000〜4500円

概要
雪国舞台の姉ゲー 一応シナリオゲー枠ですが抜きゲーばりにHシーンが多く(ほぼ単独ヒロインでシーン数が30越え)イチャラブシーンも多いのが特徴
市場に溢れている伝奇ゲーとは一線を画する作品で多くの作品に触れている人ほど騙され、驚きも大きいかと思います。
詳しく書くとネタバレになってしまうので、ここでは省きますが、ライターの頑張りが伝わってくるストーリーです。


注意点
この作品も上で紹介した痕と同じくリメイク品が存在します。しかしストーリーが未完成で発売されておりハッキリ言ってしまえば地雷扱いされています。
なので、購入はリメイク前にしておくのがオススメです。















灯穂奇譚

公式サイト: http://www.mizu-kagami.jp/tousui/tousui_index.html

参考価格:1000〜2000円

概要
民俗学がテーマの作品で自分が伝奇ゲーで一番好きな作品を挙げろと言われたら、本作を選びます。それほどまでに凄い作品です。
何が凄いかと言うと民俗学部分の作り込み、そのものです。実際の史実とオリジナルの設定を違和感なく混じり合わせ
展開されるストーリーは素晴らしいの一言

また同人ゲーですが、音楽 CG 演出 システム面においても商業モノと肩を並べるレベルで、この点も評価できます。本記事で一番のオススメは間違いなく「灯穂奇譚」です!


注意点
終盤でシナリオの流れが方向転換するのが注意点かもしれません。
メインである伝奇部分の出来が良いだけにガッカリくるかも… とは言え中盤まででも十分お釣りが来るぐらいの名作なので、是非やってみてください。













消えた世界と月と少女

サイト: http://hiyoko-soft.com/sp/

参考価格:3000〜4000円

概要
異能バトル要素を足して、起伏が少なく人によっては退屈に感じることのある伝奇モノのエンタメ性を高めた作品
そのため序盤からワクワクした展開が続くので初心者向けと言えるでしょう。

肝心のシナリオも多少アラはありますが、それなりに設定が作り込まれているので考察しがいがあり、ある程度作品をこなした方でも楽しむことができるかと思います。


注意点
上で初心者向けと書きましたが、それは作品全体を指してのものであり、シナリオ面のみで見た場合は少々難解な面があるので注意が必要です。
もっとも大筋を理解するだけなら、そこまで頭を使う必要も無いので大袈裟かもしれませんが……














月影のシミュラク

サイト: http://www.high-level.jp/product/tuki/

参考価格:4500〜5000円

概要
伝奇ゲー代表メーカー あっぷりけから出た館モノ
シンセミアやコンチェルトノートのような目立った部分は無いが、安定したシナリオが魅力的です。プレイ時間10時間程度と気軽にできる点もよし

あっぷりけの中でもシンセミアに次いで好きな作品なので、沢山の方にプレイしてもらいたい一本です。



注意点
特にこれといった問題点は無いかと思います。あえて挙げるならば値段に対してボリュームが少ないのでコスパが悪いことぐらいか…





祝姫(全年齢)

サイト: http://07th-expansion.net/ih/

参考価格:5000円

概要
ひぐらしの鳴く頃にで有名な竜騎士07氏がシナリオを手がけたギャルゲー
全年齢ではありますが、割とギリギリを攻めており直接的では無く比喩ではありますが、レイプや幼児の性的被害などの表現も出てきます。 なんなら、今回紹介した作品の中でもダントツでダークかも…
過激な表現が多い割にシナリオ自体はかなり基本に忠実でシンプルに楽しめる出来栄えです。因みにホラー要素が結構多いので、その手のストーリーが好きな人には堪らないかもしれません。


注意点
エンディング後に後日談的なエピソード(結構長め)があるのですが プレイ後の余韻をぶち壊す上に内容も良いとは言えないので、読まない方が無難…






最後に
今回選んだタイトルは、どれも面白くプレイしがいのある作品たちですので是非是非やってみてください。

送電塔のミメイ 感想

作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
送電塔のミメイは同人サークル「TRUE REMEMBRANCE」から出された、サウンドノベルゲーム2作目です。
何処と無くヨーロッパっぽい雰囲気でファンタジー色の強い1作目とは様変わりし、和風テイストの伝奇モノとして進んでいく作品です。 システム面やキャラデザ、演出に関してもクオリティが向上しており、EDではアニメーションも追加されていたことから製作者も力を入れていた事が伝わってきます。

個人的な意見になりますが、TRUE REMEMBRANCEよりも本作の方が良い作品であったと感じました。




[評価点]
シナリオ:A-
キャラ:B+
ビジュアル:B+
世界観:A-
演出:B
音楽:B+
オススメ度:A

総合点 79点





考察(ネタバレ有)


●ミメイの正体に関して
のっけから、一番盛り上がるであろう、終盤のネタバラシについて触れていきたいと思います。
本作は序盤に「夜刀=コゴリの鬼」「ミメイ=鬼を祓う者」として説明され、以降もその様に進んでいきます。 しかし終盤にて一転「夜刀=鬼に憑かれた者」「ミメイ=コゴリの鬼(元祖)」と判明 今までの伏線が回収される構成となっています。


[伏線の一部]

・ミメイの髪が昔は長かった=夜刀のあったコゴリの鬼(元祖)は長髪

・やたら、ミメイの両親はまだ現存している事を強調した描写

・ミメイがやってきたのは夏であるのに、故郷は雪が降っていた発言=来た時期の差異(過去にミメイ(人間)が島に来た時は冬、ミメイ(鬼)が現れたのは夏)

等々…etc...etc…細かい伏線なども含めれば、まだまだあると思われます。


この様な序盤で提示されていた情報と逆の展開を終盤に持ってくるの手法は前作のTRUE REMEMBRANCEでも使われており、2作続けてプレイした自分としては、やや新鮮味に欠けてしまいました。
この部分は、もう少し違う展開 又は描写にする方が良かったのでは…と思ったり思わなかったり…



●演出に関して
本作はサウンドノベル(ボイス無し)という事もあってか、BGMにも力が入っていた様に感じました。 恐らくはフリー音源だとは思いますが、よく吟味して選んだのか主となる旋律を強調しつつも世界観を壊さない様な曲が多かったです。

またBGM以外の演出面も素晴らしく
一番印象的だったのは、EDムービー内のCGと夜刀目線の文章でミメイ消滅後の表現をしていた部分です。
この様な描写は商業モノでもたまに見受けられ(金恋、ナツメグひこうき雲の向こう側等々)個人的にも非常に刺さる演出なので、かなり印象に残りました。






●全体を通して
前作と比較するとメッセージ性が大きく損なわれている分 エンターテイメント性が大きく向上、フリーゲーム補正抜きに考えても伏線回収や演出、ストーリーなど良く出来ており商業モノと比較しても見劣りしない作品であると思います。






まとめ
目立った所があるわけでは無いですが、要所要所に光る点が見受けられ自分的にも満足のいく作品です。個人制作だと思いますが、それ故に出せるモノを全部出しつくした作品なのでしょう。
総プレイ時間3〜4時間と短くプレイしやすいので伝奇や田舎系のシナリオが好きな方には是非やって見てほしいです。

雨のマージナル 感想


作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
雨のマージナルは「ステージなな」から出された中では珍しいナルキッソスシリーズ以外の作品です。(初代ナルキッソス発売以前の二次創作物は除く)
その為 ストーリー上でのナルキッソスとの関連性はありません。
しかしながら描写に、何処と無くナルキみを感じる場面が多々ありましたので、出来ればナルキ後に本作をプレイするのが推奨です。

ファンタジー色強めのショートストーリーで1〜2時間ほどでやり終える事ができるので、結構オススメ。
片岡ともさんの描く世界観が好きな人には是非読んでいただきたい作品です!





[評価点]
シナリオ:B-
キャラ:B+
ビジュアル:A
世界観:A+
演出:B
音楽:A
オススメ度:A

総合点 76点





考察(ネタバレ有)


●ナルキとの関連性について
作品概要でも述べましたが、本作はナルキッソスを彷彿とさせる描写が多いです。 例を挙げると

・リンとセツミの口調が類似

・白石工務店の椅子

・河岸(砂浜)での追いかけっこ

・おまけにあるショートエピソード

などなど…etc...etc..


他にも少し捻ったものだと主人公が雨の世界へ行ったエレベーターが8F(余命宣告者が集う7Fの更に一つ上=死後により近いしい世界)で停止する事なども、もしかしたら意識して描かれた部分なのかもしれません。


リストアップしてみるとナルキっぽい描写を片岡ともさんが意図的に作中内で散りばめていた事がよく分かります。 それだけナルキッソス という作品はライターにとって思い出深い作品なのだと、よく分かります。




●テーマについて
上でナルキとの類似性を述べましたが、相違点もあります。 それはメインテーマについてです。

まずナルキについてですが、「急な日常の変化に伴う絶望や諦関・生きた証の受け継ぎ」などが主となるテーマです。

一方で雨のマージナルでは、序盤の死も生も選べない主人公の心境や一人で雨の世界で暮らすリンの感情を以ってして「変わらない日常、恒常的な世界への悲観」が描かれています。
これは真逆とも言えるテーマで、終盤でリンが現実に戻る際に郎女に記憶を消される場面など(展開上、完全に消去されたわけでは無いが…)ある意味では、ナルキシリーズ共通テーマである「受け継ぎ」を全否定しているようなものです。

私はライターの意思を読み取るタイプの考察は苦手なので何ともですが、片岡ともさん的には平和と退屈を履き違えるなと伝えたかったとか思ったりしました。




●全体を通して
本作は超短編+設定の説明が割と多いなどの事からメッセージ性や単純なストーリー性は片岡ともさんが書いた他の作品に比べて弱く、どちらかと言えば雰囲気の描写に力を入れていたように感じました。
また盛り上がりや感動シーンも薄味なので期待しすぎると痛い目を見るかもしれません。しかしながら全体的には完成度が高いのでオススメ度は結構高いです。
個人的には満足のいく作品でした。





まとめ
ステージななの中では、やや評価が低いですが流石は片岡ともさん 一定以上の水準には仕上がっていました。 こうなってくると、これから手を付ける冬のポラリスやバブルテーマの次回作にも期待が高まるところ…
ねこねこ及びステージななには、これからも良い作品を出していって貰いたいものです…

あくまでこれは〜の物語 感想

作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
シンソウノイズで話題になったメーカー Azuriteの2作品目 前作と同じくDMMGAMESでの認証が必須で中古での購入が難しいため他メーカーに比べ、やや敷居が高いものとなっており、チャレンジ精神溢れる変わり種系のジャンルでプレイヤーの予想を裏切る奇抜なストーリーです。
絵柄的に可愛らしくキャラゲーのような印象を受ける人も多いかもしれませんが、一皮剥けば萌え重視とは程遠くライターの尖った思想が伝わってくる作品となっています。


[評価点]
シナリオ:B
キャラ:A
ビジュアル:A
世界観:B
演出:B
音楽:S
オススメ度:B

総合点 76点





考察(ネタバレ有)











本作はネタバレを見てしまうと、作品の良さが激減してしまいます。
プレイ済み、もしくはネタバレOKという方のみ以降の記事を読むようにしてください。
















●ギミックについて
前半部分のAパートと伏線回収のBパートの関係性についてが、本作品における一番の目玉にして最大のギミックと言えます。

そのギミックとは何なのか?
完結に説明するならば、プレイヤーが読み進めるAパートは、主人公城一の息子である肇の書いた小説の中の出来事だったというものです。

これは、伏線を無理やり回収する力技のようなもので二度は出来ない方法です。
Aパートはブツ切りENDが多く、伏線もまるで回収できていない キャラの言動や目的も理解出来しづらいなど一つの読み物としてかなりお粗末です。 その理由は小説家としては未成熟な肇が書いた物語だったから…という訳です。

これならば、どれだけグチャグチャなストーリーでもそれ自体全てが伏線となるので、ある意味では最強の回収方法と言えます。





●ギミックに関しての感想
上で説明した小説の中だったオチですが個人的には、思ったほどの衝撃はありませんでした。この理由は構成ミスにあると私は考えました。
Aパート終了後、直ぐに肇視点で物語が始まるため最初はいきなり視点が変わったことに戸惑います。しかしある程度読み進めれば、肇=城一の息子と予測する事が容易に出来てしまいます。

これはBパート開始から肇が主人公の体験した夏を小説として書き始めるまでが長い事が原因あると言えます。「Aパートは実は肇の書いた小説の中だった!」と突然告げられるというよりも「これこれこういった流れだから、Aパートは小説の世界なんだよ〜」と丁寧に説明されている気分になってしまう訳です。

丁寧な描写が悪いとは言いませんが前半10時間以上引っ張ってきたネタバラシを行う際には蛇足であると言わざる得ません。特に今回のような一発ネタの場合、多少強引だったとしても読み手が感づく前に答えを出してしまうべきであると思いました。





●Hシーンについて
ギミックだけでは非処女ヒロインや陵辱シーンもどきの存在などからもライターの挑戦的な意図が伝わってきました。

本作の絵柄は、事前知識無しに見たら、殆どがキャラゲーだと感じるほど可愛らしい絵柄です。だからこそヒロインが非処女であったり、陵辱が行われることでギャップが生まれます。しかしコレもギミックと同じく中途半端な印象を受けました。非処女とはいえ彼氏とは別れていたり、挿入無しの陵辱であったりとどっちつかずです。少しでも陵辱要素が出た時点で、イチャラブ好きからの評価は得られなくなってしまうのは分かりきった事である訳です。ならば、いっそのこと振り切ったレイプシーンなどを入れるなどして尖りきった作品に仕上げるべきだと個人的には考えてしまいました…





●テーマについて
他の作品と比較しても本作はかなりメッセージ性の強い作品です。それらは、以下の項目についてのライターの否定的な意見が多く描写されていました。


・ソシャゲの課金
・ネット依存症
・ネットでの暴言
・LINEの危険性
SNSライブチャットで未成年淫行等々…


まとめてしまえばネット社会への批判と警笛です。このテーマについて、とやかくいう気は有りませんがネットに触れる機会が多くツイッターや他のSNSをやっている人が多いエロゲーマーという人種に対してエロゲというパソコン(ネット)を利用した媒体で書く内容では無いんじゃ無いかな〜と思ってしまいます。
情報化社会の時代に取り残されたライターの理不尽な怒りが伝わってくるようで、微妙な気分になってしまいます。

ただメッセージ性という意味では過去 類に見ないほど強い思いを感じたのである意味ではライターの思惑通りになってしまったのかなー?とか考えたり考えなかったり…







気になった点

●タイトルについて
某批評サイトにてタイトルの意味について触れられてる書き込みがいくつか見受けられました。それらを要約するとタイトルの意味が深いといったものになります。
しかし私的にはイマイチ「あくまでこれは〜の物語」というタイトルを上手く考える事が出来ず、開始時に出てきた「あくまでこれははじめの物語」という文章から、本作は全て主人公(城一)では無く、その息子(肇)の物語だよ程度の解釈しかできませんでした…… 批評空間では 深い意味について詳しく書かれていなかったので、理解出来た方がいたら教えて欲しかったりしますw





まとめ

要所要所で光る部分はあるが、全体で見たらパワー不足感が否めない本作
ギミックの奇抜さで勝負するならば、ネット批判などの無駄なメッセージ性など入れずにシナリオの面白さ一本で堂々と書いて欲しかったです。

総合的にはやや期待はずれ
少しズレれば好みドンピシャの作品になっていた可能性があるだけに凄く残念です。評価点はギミックと原画、OPの貢献度がかなり大きいかな…

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