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灯穂奇譚 考察

考察

概要
灯穂奇譚には民俗学パートにおいて複数の設定があるがまずはそれら設定内のの説や文化が実際に有るものなのかを整理していく。
その後、史実を基にした部分と本作のオリジナル部分に分けて考察をしていきたいと思う。

ストーリー
ストーリーについては、本作の感想記事において説明したが、主人公が佐奈伎村にある銅鐸を用いて復活の儀を行うシャーマンの血を継いでいる事が重要になってくる。
本作では、「佐奈伎」「銅鐸」「かわびらき」「イザナギ」の4つを中心に物語が展開されていくが、まずはそれぞれの言葉を整理してみる。

重要な言葉

・佐奈伎(さなき)
これは作中の舞台である村の名前だが、考察において非常に重要な言葉となっている。元ネタは諏訪大社の「御宝鈴・御宝・佐奈伎鈴(さなぎのすず)」であり
本編でも佐奈伎の鈴と佐奈伎村の関係性を疑われていた。
この佐奈伎という言葉は他の3つ「銅鐸」「かわびらき」「イザナギ」と深く関わってくる。


・銅鐸
銅鐸には類似品の鉄鐸があり上で記した
佐奈伎鈴は鉄鐸の事である。
銅鐸、鉄鐸に共通した鐸の文字 これは鈴を示す言葉でサナギとも読む
由来としては、たかし小僧と呼ばれる自然に出来た中が空洞の物質(小さな鈴に似ている)が蝶のサナギに似ているため
鐸→鈴→たかし小僧→サナギとなり
最終的に鐸=サナギになった。


・かわびらき
蝶の古語 かわびらきでは無く「かはひらこ」と呼ぶことが多いらしい。
由来としては、かわ+ひら+こ 川の近くでひらひら飛んでいる虫(子)という説が有力である。
しかし作中では、皮を開くモノ即ち、蛹(サナギ)を皮を破って生まれるモノといった完全オリジナルの由来が作られている。


イザナギ
古事記イザナミと共に日本列島を作ったとされる男の神
古事記内にイザナギが死んでしまったイザナミを黄泉の国から引き戻したが、バケモノのような姿へ成り代わっていたイザナミに恐れをなして別れを告げるエピソードがある。
イザナギ→サナギ→鐸(鉄)の神では無いか?という学説も存在する。

上記4つの言葉は
佐奈伎=サナギ
銅鐸→鐸→サナギ
かわびらき→蝶→蛹→サナギ
イザナギ→鐸の神→サナギの神
と全てサナギという言葉と関係している。


佐奈伎村の伝承と古事記
佐奈伎村の伝承に火事で妻(佐奈美)を亡くした男(奈伎)の話がある。
この物語は古事記イザナミが黄泉の国へと行くエピソードとの類似点が多く
古事記より先に佐奈伎村の伝承があった場合に古事記は佐奈伎村の伝承が元になったと推測できる。
よってイザナギ=奈伎(佐奈伎村のおとぎ話の主人公)となり日本には古事記が書かれる以前に鉄(鐸=銅鐸)を用いて死者(佐奈美)を復活させる力を持つ村(佐奈伎村)が存在する事になる。
つまり古事記の本当の意味、そして長年謎だった銅鐸の使い道が露見し日本の古代史がひっくり返る。


ドゴン族オチ
ドゴン族とはマリ共和国に住んでいる民族である。
この民族には近代になってから発見された天文学知識が神話として1300年から伝わっているとされていた。
一時期宇宙人がドゴン族に知識を伝えたなどの眉唾説もあったが真相は簡単なものであった。
それは、新しくしった知識も民族内を行き来するうちに数十年で古くから伝わる伝承と姿が変わるといったものである。
この答えは、ある研究者がドゴン族への礼にロシアの民謡を教えたところ20年たらずで、その民謡が民族内で古くから伝わる歌へと変化した事から発見された。
この事から、古くからあるものでも実はつい最近に出来たものの可能性もあるというドゴン族オチといった言葉が生まれた。

ドゴン族になぞらえて本編では最終的に村が出来たのは戦後まもなくの事で伝承も古事記を元に作られたというオチだった。


かわびらきについて

かわびらきの意味をサナギの皮を開くモノという本作のオリジナル設定がある。
蝶=魂は古くからの言い伝えで存在するため
幼虫→蛹→蝶=人→死→魂
ここから幼虫から蝶への変化を蘇りとし、蝶≠幼虫であることから魂≠人であるため蘇っても全く同じモノでは無いと関連付けしたと考えられる。

蛹→蝶への変化を死と結びつけ拘束された現世(蛹)から自由な来世(蝶)へと捉える生まれ変わり的考えはある。
しかし幼虫→蛹→蝶の流れを死からの不完全な復活 生まれ変わりではなく黄泉帰りと捉えたのは本作独自のものだろう

かわびらきに関しては人の皮を開き中身を出したら、それは人であって人でない化け物となる解釈ができるため。
人(幼虫)が蘇って(変態して)も全く同じとは言えない魂(蝶)となる事と古事記で黄泉から復活したイザナミ(化け物) 、「かわびらき=蝶=サナギ=イザナギ」の3つをまとめて考えることができる


まとめ
本編では、これらの民俗学部分は最終的にドゴン族オチ 全て最近に出来たモノであまり重要性のないとして、ファンタジー要素を色濃くしたシナリオとなっていたが、史実とオリジナル設定の入り混じった設定は完成度が高い。
終盤の泣きゲ展開も悪くはないが、民俗学部分をメインにしたサスペンスを軸に展開していけば、今以上の名作になったと思う。





参考文献
蝶と死の関係
http://www3.point.ne.jp/~ama/w17.html

イザナギ=鉄の神
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480098702/

蛹=鐸
https://search.yahoo.co.jp/amp/s/gamp.ameblo.jp/cypris11/entry-12279387676.html%3Fusqp%3Dmq331AQNKAGYAb7Etp-CxoqgcA%253D%253D

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