黄昏のエロゲ感想/a>

黄昏のエロゲ感想

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Missing-X-Link 天のゆりかご、伽の花 感想

作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
DMM系列メーカーFlouriteの2作目
ジャンルとしては人工知能がテーマのSFモノで、前作のソーサレスアライヴ と違ってDMMGAMESを使用する必要がありません。またシナリオの出来も良いため全体的に評判が良い作品です。


[評価点]
シナリオ:A
キャラ:B+
ビジュアル:A-
世界観:A
演出:S+
音楽:B
オススメ度:A

総合点 83点



作品概要・評価点詳細(ネタバレ有)

[作品概要]
前作のソサアラとは違い爆発力は無いが安定感はある本作品 演出面で非常に優れておりスペックが足りないPCだとプレイに支障をきたす可能性大です。
雰囲気ゲーだけあって全体のテーマも優しく話の展開としては、割とドロドロなのに描写はそうでもないといった感じでした。
そのため人によっては、どこか幼稚な印象を持ってしまうシナリオかもしれません。

[評価点詳細]

・シナリオ:A
人工知能と人間との違いがテーマの作品 エロゲでは割とありふれた題材なので目新しさは無いですが、割と序盤から大きく展開が動くので退屈することなく進めることが出来ました。


・キャラ:B+
可愛らしいキャラが多いですが、テンプレ感が否めない印象
汚れ役ポジションの遊離をうまく使えたらこの部分の点数も上がったかもしれません。


・ビジュアル:A-
一枚絵の塗りがうまく 電脳空間でのCGも出来が良かったです。
Hシーンでのアニメーションをカットできなかったのが少し残念に感じました。


・世界観:A
誰もが心に悪を抱えていて根っからの悪人はいないよ的な世界観
雰囲気としては、木漏れ日のノスタルジーカを思い出しました。

・演出:S+
おそらく本作で最も優れた部分です。
電脳空間の表現も素晴らしいですが一番はトゥルールートのチェスバトル、テキストと連動して3Dの駒が動くので、臨場感が他のADVゲームとは比べ物になりませんでした。


・音楽:B
OP ED BGM共にあまり印象に残りませんでした。音楽は雰囲気ゲーには重要な
部分なので頑張って欲しかったです。

・オススメ度:A
高水準な作品なのでオススメ度は非常に高いです。ただし演出でPCスペックが足りないと止まる部分が多々あるので体験版プレイは必須

考察・気になった点

[考察]
本作はエピローグ+1章〜4章+トゥルーの構成になっており各章に人工知能の自由意志、宗教観、悪意、恋愛感情といったテーマが振り分けられています。
エピローグとトゥルーでは主に主人公の姉や藍視関係のいざこざについてのチェスバトルもありますし、シナリオで単純に盛り上がるのはこの部分かなと思ってます。しかしながらメインテーマの人工知能と人間の違いについては弱く 1章〜4章の方が主張がはっきりしたシナリオでした。

各章をまとめ

[1章]
晶さんのメインシナリオ ここでは、人工知能の自由意志をテーマとなっています。
軍事会社タイレルから逃げ出して篠月学園で事件を起こした軍事兵器オートマタ散桜花を捕まえよう的なシナリオ
しかし結局逃してしまい散桜花が逃げ出した本当の理由はここでは、分からずじまいでした。

[2章]
ひなちゃんのメインシナリオ ここでは人工知能の宗教観がメインテーマとなっています。
この章では人々に感謝されるために働く看護オートマタ しかし文句こそ言われど感謝はされない状況によって次第に感情が壊れていく。 結果として存在し得ない人工知能の神 「偽神」を作り上げ 患者であるひなを生贄にしようとするのを止めるシナリオです。
人間が神に祈るのも恵まれない現在を嘆いての行動であり、ここで人工知能と人間の思考回路に然程差がない事が示唆されています。
この章では看護オートマタから付随して1章で逃げ出した散桜花の件にも触れられており、彼女が逃げした理由も看護オートマタと同じく感謝されるべき味方から嫉妬によって銃で撃たれたのが原因と判明した。

[3章]
遊離のメインシナリオ ここでは人工知能の悪意がメインテーマとなっています。
基本的にオートマタの思考回路は人間を傷つけないために悪意は無く 2章看護オートマタの件も人々に感謝されるための行動であり善意からくるものだと説明されていた。
軍事用オートマタ散桜花も例に漏れず 感謝されるために人を殺す道具であり命令するのは人間でそこに自らの意思はありませんでした。
感謝されるはずの味方に撃たれ自らの存在意義を疑い 自由意志を持つこと願った散桜花は、道具として使われる側では無く、使う側として主人公の殺人を計画する。 つまりは散桜花本人が主人公を殺すのでは無く 遊離に主人公を殺すように指示をしたのでした。
最終的には遊離に欺かれ計画は失敗に終わりますが、これにより人工知能も悪意を持つことが出来る証明となりました。

[4章]
姫風露のメインシナリオ ここでは人工知能の恋愛感情がメインテーマとなっています。
3章で悪意を持つ事が判明した人工知能、ならば反対である好意も持つはずです。散桜花の姉妹機である姫風露も悪意と好意両方を持っており今までの生活から主人公を好きになります。
この章は基本的にトゥルーまで大きな事件は起きず恋する2人の物語が進んで行きますが、中盤あたりで姫風露のレイヤー0(オートマタが人間の命令を遵守するための絶対項目、何が書かれているかはオートマタ本人にも分からない)について触れられており、姫風露のレイヤー0はほぼ間違い無く「人間を愛しお世話する事」だと主人公は予測します。つまり姫風露は主人公以外がマスターになったIFの世界ではその人物に無制限の愛を与えていたかもしれないといった思いが主人公を苦しめました。


[トゥルールート]
このルートでは人工知能の感情については殆ど触れられませんでしたが、最後に大きな事実が判明しました。
それは姫風露のレイヤー0についてです。主人公は「人間を愛しお世話をする事」と予測しましたが、結果は「空白」姫風露のレイヤー0には何も書かれていない事がわかりました。
つまり姫風露が主人公を愛しお世話をし恋をしたのはレイヤー0に支配されていたのでは無く全て姫風露自身が考え選んだ選択肢でした。
人間とオートマタの最後の違いであるレイヤー0の存在すら無くなってしまえば人工知能と人間の差異は無く 2つの存在は全く同じだと言えます。

[まとめ]
前編を通してオートマタと人間との違いを描写して最終的に差が無いとした本作
ロボットらしさでは無く 人間らしさに力を入れたシナリオは他の人工知能テーマ作品にも多いですが、章ごとに感情を細くかく説明した作品は少なく故に本作の説得力も増しています。
演出部分や姉関係のシナリオにも目が行きがちな物語ですが、人工知能の感情面にも目を向けたら面白いかもしれません。



[気になった点]
やはり、PCの必要スペックが高い事とライターがBADENDを作る勇気が無かった?部分が気になりました。
話の流れをいくら重くしても肝心の雰囲気が優しいのでシリアスシーンでもあまり不安にならない作品です。
その方が良いという人も多いかもしれませんが個人的には少しくらいは暗い方が好きです。
残酷なようでいて優しい世界の本作は良さと悪さが混じり合った作品なのかもしれません。


総評
[総評]
シナリオも安定していてCGも綺麗
演出はエロゲの中でもTOPクラスなので十分良作と言えると思います。
しかし尖った部分が少ないので名作一歩及ばずといった印象ので、前作のソサアラを期待してプレイすると肩透かしを喰らうかもしれません。

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