黄昏のエロゲ感想/a>

黄昏のエロゲ感想

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AQUAS 感想

作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
人類が滅びた後の世界
地球を支配していたのは水中で呼吸を可能にした人魚たちだった!
この一風変わった特徴的な設定の本作品
ネットでの評判はパッとせず知名度も無いので知っている人は少ないかもしれませんが、独特の設定はハマる人にとっては、とことんハマるストーリーとなっています。

[評価点]
シナリオ:A
キャラ:B+
ビジュアル:A-
世界観:S-
演出:C-
音楽:B-
オススメ度:A

総合点 79点



評価点詳細(ネタバレ有)













[評価点詳細]

・シナリオ:A
SF 哲学 ファンタジーを混ぜ合わせたようなシナリオ
終盤 一部の展開について説明不足な点はありましたが、とにかく退屈せずにプレイする事が出来ました。純粋にプレイしてて面白いタイプのストーリーです。


・キャラ:B+
全体的にキツイ性格のキャラが多いように感じました。
ツンデレ系統のヒロインは自分的に割とアリなのですが、この部分が難点になる人もいるかもしれません…


・ビジュアル:A-
流石に今見ると古臭い絵ですが、意外にも完成度が高いです。
2000年初期に多い判子絵では無いですし、コメディシーンのCGではキャラの表情が多彩なので見ていて楽しいです。


・世界観:S-
本作一番の魅力ポイント
一見のどかに見えてどことなく退廃したような田舎町 人魚 神 幽霊と…
近年のありふれた学園ものには無い良さがフンダンに使われています。


・演出:C-
イマイチな部分…
終盤に強制オート機能になる演出があるのですが、この終盤部分で割と重要な描写を入れてあるため読み込んで理解しようとしても直ぐに次のテキストに行ってしまいます。
正直 無駄な演出だと思いました。


・音楽:B-
いかんせん数が少なく 何度も同じBGMを聞く羽目になってしまいます。
せっかくBGM自体は良い出来なので、種類を増やして欲しかった感が否めません…


・オススメ度:A
変わった設定ではありますが、ある程度までは理解しやすいですし、絵柄も時代を考慮すれば十分綺麗と言えます。
環境面が難点ですが、win10 ならば有志パッチを適用すれば問題はありません。
ネット評判に左右されずにプレイする事をオススメします。

感想・考察・気になった点

[感想]
個人的に物凄くツボに刺さった作品でした。
作品全体を通してはSFと若干のファンタジー 個別ルートは雪花が鬱、九月がバトルファンジー、小鮎& 美由菜は感動路線とそれぞれテーマがバラけていて読み手を飽きさせることが無い構成になっていました。特に面白かったのは、トゥルーと小鮎ルートです。
それぞれのエンドでバラまいてきた伏線を回収して一気にどんでん返しを決めたトゥルールート
強気なキャラが実は過去に…的な設定で安易なお涙頂戴に持って行かず鬱々としたされど最後はスッキリとできる感動路線の小鮎ルート
どちらも王道とはズレていましたし、トゥルーの方は描写不足な部分もありますが、十分良作と言っても良いシナリオであったと思います。
しかしこれらのサブキャラシナリオのパンチが効きすぎておりトゥルーへと繋がる 序盤のメインルートとされる雪花ルートのパワー不足が目立ちます。
ラスト間際 ロリ化した雪花と主人公をすれ違わせたのは良かったのですが、その後の流れが安直すぎたので、この部分をもう少し捻ったら良かった感はありました…


[考察]
本作は一部描写が足りないポイントもあるので考察は難しいのですが、自分なりの解釈を書いていきたいと思います。


●人類滅亡の理由

本作開始時より大昔 ヒトがまだ生きていた時代に人類はネオ物理学と言った学問を発見します。これについては特に詳しい説明はありませんでしたが、この学問を利用しているっぽい描写のあった美由菜が魔女扱いされているので実際魔法のようになんでもできるようになる技術なのだと推測されます。
ヒトはこれを利用し水中で呼吸できる人魚を作り上げたのですが、ある一定の歳まで成長すると若返りを起こす副作用が発見されました。雪花のような赤羽の民はこの副作用が色濃く出るような遺伝子を持った一族なのでしょう
その後ネオ物理学を研究する施設で事故が発生し地上が汚染され人類は滅びてしまいました。この際に海に逃げた人魚たちが反映し栄えた世界が作中の時間軸です。


●美由菜について

人類滅亡時の生き残り
彼女のルート終盤にて半分人魚半分人類だと口を滑らせていたので、赤羽の民の若返り副作用と人間の老化が互いに作用しあい老化しないのだと推測されます。
人類復活のために主人公のクローン(厳密にはクローンでは無いが)を何度も作ってきていますが、この人類復活とは遺伝子情報としてのヒトでは無く生き方考え方を含めたうえでのヒトなのでしょう。作中の「エイジ」が今まで誕生したどのエイジよりも特別扱いされていたのは「エイジ」が、より人間らしいエゴを持っていたからだと考えられます。


●OZについて

主人公と冬花を時の止まった世界に閉じ込めたり、アヤメを別世界から連れてきたり、小鮎の過去を言い当てたりと…個別ルートにて起こる事件の原因を作る謎の男
おそらくは美由菜と同じく滅亡時代の生き残りだと思われます。
上記のように異世界に行ったり過去に行ったりする力を持っていますが、コレはネオ物理学の力を使っているのでしょう。正体を明かした際 美由菜が「男運が無い」とボヤいているため、深い関係の間柄だったのかな?とか思ったり…

このカミングアウトの際OZは美由菜に対し「彼と私の関係性に気づかなかったのか?」と発言しています。彼=主人公だとするなら、エイジはOZと親子関係 美由菜とOZは恋人関係でエイジは2人の子供 これならば、美由菜が人類復活=エイジ復活としている理由も理解できます。実際に美由菜は自分自身をエイジの親代わりと自称しているわけですし十分ありえる展開ではあると思われます。まぁコレに関しては完全に妄想の域を出ませんが...

仮にこの考えがあっているとするならば、トゥルーでのOZと主人公の哲学じみた問答は、自らの息子が人類たり得るかを問うテストだったのでは無いかと考えられます。以下がOZの問いと主人公の答えです。



Q:「本当の自分は大切か?」

A:「本当の自分に嘘をつくのは良く無いことであり、仮に嘘をついた方が幸せだとしても それを壊すべき。」


Q:「力とは何か?」

A:「力とは人と戦わないために必要な力
所謂 抑止力他者を守るために必要なものであり、勝負に勝つこととは別にある。たとえ進化する道を捨てることになっても力は捨てるべき。」


Q:「何故雪花を選ぶのか?」

A「小鮎や九月と違い雪花は俺と関係を持ち過ぎてお互いがいないと生きていけない。例え2週間しか一緒にいなかったとしても幸せにしてやりたいと思った。」


この3つの回答は自分の考えを通すために「幸せを・進化を・小鮎と九月を」を犠牲にする事を許容しています。
このエゴこそヒトはヒトたり得るか条件
人魚には存在しないモノなのだというのがライターの考えなのでしょう。
実際にOZは作中で口には出していないもののエゴの存在を確認して主人公を(息子を)ヒトと認めたのだと思います。


●主人公が他ENDの知識を有していた訳

これに関しては異世界に渡る力(主人公が他ヒロインを選んだ世界)を持つOZの力が作用したのでは無いかと言えます。

この件に関しては主人公が過去のエイジ達の記憶があるのは説明されましたが、IFの世界 自分が選ばなかったルートの知識を持っている説明はされなかったので、完全に推測するしか無いですね。この部分が終盤のわかりにくい説明不足ポイントの1つです。
まぁOZが他の未来を見てみる発言をしていたので、この考えであってるとは思いますが…


●アレクについて

正体は不明です。
異世界渡航を可能にする半ば神のような存在であるOZがアレクに対してビビり散らしていたので、本物の神かも…?程度の情報しかありません。

物語を傍観者の立場として見ており、偶に主人公にアドバイスをして助け 作中世界にてほぼ絶対的な力を持っているOZですら手出しできない存在
メタ的な考えならば、主人公に対するアドバイスを選択肢を選ぶプレイヤー(画面の前の自分)の代理者と解釈出来ないことも無いです。



[気になった点]
やはり一番気になったのは、アレクとOZの正体 そして冬花ルートで主人公が小鮎&九月ルートでの出来事を知り得た理由ですかね。一応の説明や解釈は考察でしましたが、なにぶん情報不足で妄想の域を出ないのが殆どなので、他の方の考えも見てみたいです。
もっとも結構マイナー作なのでネットでの感想も中々なく合ってみ簡単なものばかりなので上手くはいきませんが…



総評
[総評]
とにかく退屈知らずの作品なので、飽きっぽい方やのんびり系の作品が合わないかたにもピッタリです。
難点である終盤の描写不足もある意味では考察が捗ると言えるかもしれません()
個人的には最近プレイした中でもかなり面白くオススメできる作品でした。
まぁまぁなマイナー作なのでプレイする方は少ないかもですが、ぜひやって見てほしいです。

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