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黄昏のエロゲ感想

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クロスコンチェルト 感想


作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
ロスコンチェルトは、あっぷりけが初めてクラウドファンディングで制作した作品です。
世界観的にはコンチェルトノートと同一であり、御霊の設定なども受け継がれています。そのため必須ではありませんが物語を最大限に楽しむためにはコンチェルトノートと、そのFDである黄昏の先に登る明日のプレイが推奨されます。
内容としては恒例の伝奇ゲーで高い完成度で仕上げられていました。

[評価点]
シナリオ:B+
キャラ:A+
ビジュアル:A
世界観:B
演出:B+
音楽:A
オススメ度:B+

総合点 75点



評価点詳細・感想(ネタバレ有)













[評価点詳細]

・シナリオ:B+
綺麗にまとまってはいますが、歴代の作品に比べてパワー不足なのが否めません。割と序盤から霊的なものの存在を仄めかしていたので、シミュラクラのようにホラー要素を大目にしたシナリオにした方が良かったかもしれません。


・キャラ:A
メインである瑠璃は勿論の事その他含め魅力的なキャラが多かったです。
Hシーンの数も多く この部分に関しては、かなり評価できました。


・ビジュアル:A
一時期 迷走していたように感じていた、キャラデザも本作では持ち直していました。 シンセミアを正統進化させた本作の絵柄は、独特の魅力があり個人的にはかなり気に入っています。


・世界観:B
寮が物語の中心となっていますが、登場キャラも少なくコンチェルトノートの時に比べるとイマイチな印象を受けました。


・演出:B+
アッサリ目ですが良い演出です。
世界が色づく描写や最終盤に主人公が瑠璃を説得する場面などは物語を邪魔しないように盛り上げる要因となっていました。


・音楽:S
本作で一番気に入った部分です。BGMは勿論のことOPが素晴らしく 歌詞なしBGMのアレンジverも多く使用されていました。


・オススメ度:B+
面白くはありますが、同じメーカーの別作品の方が完成度が高いと言わざる得ないのでプレイする場合はそちらを優先した方が良いかもしれません…



[感想]
内容としては、いつものあっぷりけらしい伝奇モノでした。コンチェルトノートの外伝的な扱いなので、御霊の設定だけでは無くカレンダーの落書きや寮生活など前作をプレイした人にとっては楽しめる小ネタがありました。
また同じ曲を使った1stOP 2ndOPなどの演出や敬語妹、サブキャラ攻略可能などからシンセミアも少し意識して作ったように感じます。

シナリオに関しては、もうひと頑張りといったところでしょうか。
総プレイ時間は大体25〜28時間程度と平均的ですが、フラグメントやHシーン サブキャラも攻略可能な為どうしてもメイン4人のシナリオに厚みが足りなくなっています。また本作のメインである御霊の謎についてもコンチェルトノートで大部分を語られおり伝奇モノの魅力である謎やそれに伴う恐怖などが薄れてしまっています。結果として1キャラ攻略すれば、物語の全貌が大体分かってしまいます。
とは言え設定の練り込みや、伏線回収なども一通りされていますし、プロローグでの槍投げシーンやラピスラズリなど盛り上がる場面はあるので全くダメかと言えばそうでもなく良作一歩手前の出来と言えます。



考察・気になった点

[考察]
今回は伝奇部分を中心に考察していきたいと思います。


●荒御魂について
人の負の感情を操り、前へ進む為の方向性へと転化させる事で村を発展させる力を持つ御霊で「保存」の特性を持つ。

以上が本物語の核となる御霊の設定です。コンチェルトノートでは完全に悪とされていたモノをプラス方向で話に組み込んだ形になります。
この荒御魂に関しては本編よりも、むしろフラグメントでの過去編で語られてることが多いので、そちらをまとめてみます。


・朔日〜さくじつ〜
柊の葉に荒御魂を払う力がある理由が説明されているエピソードです。
この時代で生贄になった巫女が慕う姉の願いである「柊の葉が魔除けなら西条の魔も払って欲しい」といった願いと「保存」力が混じり合い 結果的に柊の葉が御霊に対して有効となりました。
自らが慕う姉が嘘つきにならないように毒無き柊の葉に毒を与え憧れの姉を最後まで憧れとして見るための少女の思いが具現化した形と言えるでしょう。


・上弦~あのひ~
御霊を通して未来を知る巫女の人生が語られるエピソード
ここでは、透子ルートの予言書が生まれたきっかけと開発地区がそのままの放置されている理由が判明します。
この時の巫女は、未来の世界を知ることで外への憧れの思いを抱いたまま生贄となっています。即ち、この時点で荒御魂の中心を保存して守り人々を外へと広げて発展させる性質が出来たと推測できます。


・宵待月~みらい~
兄との恋が実らず死んだ最後の生贄のエピソード
御霊の人格は過去の生贄から波長の合う魂が元になる設定があります。(本質的には同じであるタマと奇御霊の性格が違うのはこのせい)
本編にて度々登場した御霊の幽霊の人格は、宵待月~みらい~の少女が元となっている私は考えました。この考えは主人公が荒御魂に見初められた理由にも繋がるので以下にまとめます。


●主人公が荒御魂の生贄となった理由

主人公である悟は荒御魂の生贄に選ばれてしまいますが、これに対して本編ではいくつかの理由が推測されています。



説① 西ノ宮の血を継いだ能力者だから

悟こそが本来の見鬼であり、腕と母親の
命を犠牲に不完全な未来視を手にした瑠璃は紛い物のため生贄に選ばれずに悟が選ばれた説


説② 荒御魂の嫉妬

説①の見鬼であることに対する付属の説
生贄になり不自由な思いをしてきた自分たちと同じ境遇なのに幸せに生きている主人公に対し八つ当たり気味に取り憑いたというもの


説③ 同調する力を欲したため
主人公が荒御魂の力を借りずに負の感情を原動力としていたので、興味を持たれ見初められたという説です。
これに関しては、主人公の性格は西ノ宮の血を継いだ母から力を貰ったからであり、他の柊町の住民と同じく荒御魂の力を使っているので無いでしょう。
荒御魂がこの事に気づかなかった場合は別ですが…


以上が本編で語られていた説ですが私は、この3つとは別の主人公に対し羨望の念を抱いたからだと思いました。
私が幽霊の人格元であると考えた宵待月~みらい~の少女マチは兄、年の近い同性の従者2人共に成長し悲恋を経験した後に生贄として死んでいます。
つまりは瑠璃と環境が非常によく似ているのです。自分とよく似た境遇でありながらともすれば兄妹での恋を成就しかねない八重垣兄妹に興味を惹かれたのでしょう。
これだけだと説② 御霊の嫉妬と然程変わりませんが、大きく違うのは抱いた感情です。瑠璃に自分を重ね 悟に対してはかつて好きだった兄を重ねて疑似的な恋をした… つまり嫉妬や悪意といった負の感情では無く 好意 善の感情が素の行動だったのでは無いかと私は考えました。 荒御魂は負の感情を司るのでどうしても主人公達に対して行う事は悪意的な面が大きくなってしまっていた幽霊ですが、本質的には、ただの恋する女の子にすぎないと言えるかもしれません。
そもそも幽霊の声のトーンや言っている内容自体に悪意は感じないですし、一緒に居て欲しかっただけにしか感じませんしね。



[気になった点]
未回収の伏線も無かったですし、シナリオ的に気になった点は然程ありませんでした。
あえて言うとしたら、やはり伝奇部分の密度をもう少し上げて欲しかったなとは思います。あっぷりけ作品の特色の1つですし圧倒的にプレイ時間の少ないシミュラクラの方が伝奇パートが濃いのは如何なものかとは思います。



総評
[総評]
初のCF コンチェルトノートの続編 長い制作期間などの前情報があったので少し期待しすぎたかな…といった印象の本作品 他メーカーと比べたら十分な出来なので決して悪くは無いのですが、どうしてもシンセミアなどと比べると見劣りしてしまいます。
しかしながら瑠璃ルートラストのありがちなハッピーエンドである生まれ変わりを否定した演出は見事ですし、ラピスラズリの勢いは過去作にも負けないものでした。 総合的には十分なクオリティであると思います。

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