黄昏のエロゲ感想/a>

黄昏のエロゲ感想

エロゲ感想ブログ たまにオススメ書いたりする。

femme fatale 感想(簡易版)

作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
同人メーカーinspireが出した大正時代が舞台の探偵モノ作品
陰鬱とした洋風の雰囲気は他のエロゲには無い独特の良さを持っておりシナリオも一定以上の水準に達している良作です。
2001発売+同人という事もあって絵が古く システム面は少し扱いにくいこと、テーマ及びストーリー展開が少し重めなど難点はあるので万人にオススメできる作品ではありませんが、イノグレ系列が好きな人には是非プレイしてもらいたいと個人的には思いました。


[評価点]
シナリオ:B+
キャラ:A
ビジュアル:C+
世界観:A
演出:C
音楽:C
オススメ度:B-

総合点 70点



感想(ネタバレ有)

●本作について
基本的なストーリーの流れは、他の探偵モノと大きな変わりは無く、発生した殺人事件を主人公が解決するために奔走するといったシンプルな構成になっています。
所謂推理パートや捜査パートなどはありますが、選択肢が1つだけの一本道で事件の犯人もストーリー半ばで判明するので謎解き要素は薄いといえます。そのため、ジャンルとしてはミステリーというよりかは、サスペンスに近いです。


●シナリオについて
一言で言えばエロゲ(18禁)のメリットを活かしたストーリーとなっています。
「未成年淫行」「女の性」「人身売買」など一般向けでは表現し辛いテーマを扱っており、それらを作中の事件で許されざるタブーとして描写しながBADENDでしっかりと陵辱シーンを入れる事でエロゲーらしいエロとしても表現されていました。

残念な所としては、上で書いたテーマ性を持たせたシナリオに比べると本作の中核である探偵捜査部分が少々おざなりになってしまった事でしょうか…
殺人事件の犯人も少しカンが良い程度の人ならかなり序盤で目星をつける事が出来、よくあるミスリードやドンデン返し叙述トリックも無く中盤でアッサリと正体が判明してしまいます。
更に陰鬱とした雰囲気を出すためか、物語の起伏が少ないので盛り上がる事なく事件が幕を閉じてしまいます。
もう少し自由度を持たせてトリックなどにも力を入れたら設定的に人を選ぶとはいえ十分名作になりうるポテンシャルを持っているだけに残念と思ってしまいました。


●メインテーマについて
本作品はいくつものテーマが見え隠れしていましたが私的には特に「女性の性」を主として描かれていたように感じました。
作中に登場する主人公の従姉妹や幼い少女達 そして謎の教師フレイヤ・カーシェンダーなど、ほぼ全ての女性キャラに意識的にせよ無意識にせよ男を惑わすような表現や描写があり、それによって男が不幸になる展開もありました。
「男が欲望を抱く女の身体に産まれた事が既に悪であり罪である、償うためには、その罪たる身体を使って欲望の捌け口となる事こそが女の宿命である。」
作中では神話を通してこのような事が語られています。言ってしまえば単なる屁理屈な訳ですが、この例題 女が悪かは結局最後まで否定される事は無く有耶無耶で幕が閉じられてしまいます。

実際に性欲に取り憑かれ不幸になる男もおり 意識してそれを行う女は魔性の女と言え 悪と断定できます。では無意識に行う女は無罪なのか?無意識でもその身体で男は被害を被っている。では罪なのか?無意識ではどうしよもなく、それこそ運が悪いに過ぎなく理不尽な宿命だと言える。
このように、どちらが正解なのか白黒つけるのが難しい問題です。本作ファムファタールでは、事件の犯人(女性の身体に取り憑かれた男)をフレイヤ(無意識なる魔性の女)が殺す事で、女が罪かは兎も角、上のような考えを持つ男は悪として物語は終わりを迎えました。



まとめ

いくつか難点はあれど、女性をテーマによく練られたシナリオは面白く、それでいて読了時に様々な考えが浮かびます。
有名か無名かと言われると、かなりの無名に位置しますが、個人的にはもっと有名になっても良い そんな風に感じた作品でした。

Display mode : PCSP
コードをみる