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みずいろ感想(簡易版)

作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
ねこねこソフトけんちゃんシリーズの一作目 過去の行動により現代が大きく変わるみずいろシステムの元になった作品です。
ねこねこソフトの中でもかなり古い作品なので、演出面やビジュアル、システム周りに不備はあります。
しかし片岡とも氏の書く所謂ねこねこっぽい、あの独特の雰囲気と表現は最近の作品と比べても遜色無く、むしろ作られた時代が古いからこその強みがシナリオの良さを際立たせています。

本作のライターは、米村純一氏と片岡とも氏の2人ですが、片岡とも氏の手がけたシナリオは日和ルートのみで 残りの4キャラに関しては全て米村純一氏が書いています。
評判的にはどうしても、ねこねこの顔である片岡とも氏が担当したルートの方が良い評価を得ていますが、他ルートも決して悪い訳ではなく、短くまとまった泣きゲーよりのストーリーとなっています。


[評価点]
シナリオ:A
キャラ:B+
ビジュアル:B
世界観:B+
演出:B+
音楽:A
オススメ度:B+

総合点 77点





考察(ネタバレ有)

●過去編について

みずいろは過去の思い出が重要なテーマだけあって先輩除く全てのルートで過去の出来事が重要な意味を持っていました。特に日和ルートとむつきルートでは、それが顕著に出ていたと思います。
それだけに過去編が本編に比べて圧倒的にボリュームが少なかったのが少し残念です…

またけんちゃんシリーズには過去編の前にプロローグがあるのが定番ですが、初期の作品でまだブランドの方向性が定まっていなかったのか本作のプロローグは非常に短かったです。
個人的には、ねこねこの真骨頂は、このプロローグにあると言っても過言ではないと思っているので、この点も残念…






●日和ルートについて
日和ルートは、みずいろ一番のメインストーリーだけあってシナリオや演出に力が入っていました。
ここでは、その日和ルートについて考察していきたいと思います。




・主人公との別れ
日和ルートでのみ、幼少期に日和が引っ越してしまい主人公と離れ離れになってしまうイベントが起こります。
片岡ともさんにとってこの離別というテーマには大きな思い入れがあるようで、みずいろ以降の作品にも、度々出てきます。
簡単に説明してしまえば要は、離れてしまった、幼馴染が再び巡り会う話な訳ですが、簡単な構成を説明すると
「プロローグでの出会い→過去編での別れ→現代で会合→再び別れ→再度会合」
このような流れで進んでいきます。
出会いと別れを繰り返すストーリーなので終盤では、主人公の決して日和を離さないといった思いがよく表現されていました。
文字通りキャッチコピーにもあるように…離れえぬよう、流されぬよう、ぎゅっと…という訳ですね。

それ故に “過去編について” で触れたように過去編のボリュームが少なく、1度目の出会いと別れがイマイチ伝わってきづらい問題があります。
もしかしたら、あえて別れをアッサリ気味にする事で離れて始めて知る大切さを表現したかったのかもしれませんが、であるならば主人公が涙したシーンをもう少し詳しく描写した方が良い訳ですしね…





・日和の記憶について
ルート終盤で、日和の生き霊(作中で名義されていないが恐らくこの表現が一番近い)消滅後に主人公は本物の日和と再会します。
個人的には、ここで生き霊時の記憶を戻して完全ハッピーエンドにしても良いと思った訳ですが、あえて記憶を失ったままにする事で別れと出会いを同時に表したのは流石と言わざる得ません。

失ってしまった日和(生き霊)の意思を受け継ぎ 再会した日和(本体)と一緒に歩いていく、そして最後にストローの指輪の展開を入れる事で御都合主義にならない程度の幸せを与える...
非常に良く出来た ライターの離別への思いが伝わってくる完成度の高いストーリーだと言えます。





・みずいろについて
日和ルートクリア後に「みずいろ」エピソードがおまけに追加されます。これは3分程度で終わる超短編なのですが 恐らくは、幼少期に別れる事なく、成長した日和と主人公、要は本編では決して見ることの出来ない2人の姿を描いた物だと私は考えました。
結局 キャッチコピーにもあるように2人でぎゅっと近くに寄りそえあえば、幸せになれる訳ですね。

また2人寄りそえば幸せになれるといいましても同じけんちゃんシリーズのポン枠であるラムネ、そらいろの七海は主人公と一緒にいても一度は不幸になっています。
しかしこの2人と違い日和は主人公が居なくても交通事故直前まで普通に過ごしていたことがストーリーから分かりますし、ある程度自立し、主人公に頼りきりでない部分から差別化されていると言えます。
ラムネ、そらいろを書いていた時の片岡とも氏がそこまで考えていたかどうかは不明ですが…







まとめ

雰囲気の良い舞台設定と演出、耳に残るBGMとテーマ性の高い個別、そして けんちゃんシリーズの元祖だけあって非常に面白い作品でした。 みずいろを一番最初に持って来なかったのを後悔しているレベルです。
本作は、以降の作品にも大きく影響を与えていますし 堂々とねこねこの顔と言ってしまっても過言ではない!……そんな作品でした。

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