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雨のマージナル 感想


作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
雨のマージナルは「ステージなな」から出された中では珍しいナルキッソスシリーズ以外の作品です。(初代ナルキッソス発売以前の二次創作物は除く)
その為 ストーリー上でのナルキッソスとの関連性はありません。
しかしながら描写に、何処と無くナルキみを感じる場面が多々ありましたので、出来ればナルキ後に本作をプレイするのが推奨です。

ファンタジー色強めのショートストーリーで1〜2時間ほどでやり終える事ができるので、結構オススメ。
片岡ともさんの描く世界観が好きな人には是非読んでいただきたい作品です!





[評価点]
シナリオ:B-
キャラ:B+
ビジュアル:A
世界観:A+
演出:B
音楽:A
オススメ度:A

総合点 76点





考察(ネタバレ有)


●ナルキとの関連性について
作品概要でも述べましたが、本作はナルキッソスを彷彿とさせる描写が多いです。 例を挙げると

・リンとセツミの口調が類似

・白石工務店の椅子

・河岸(砂浜)での追いかけっこ

・おまけにあるショートエピソード

などなど…etc...etc..


他にも少し捻ったものだと主人公が雨の世界へ行ったエレベーターが8F(余命宣告者が集う7Fの更に一つ上=死後により近いしい世界)で停止する事なども、もしかしたら意識して描かれた部分なのかもしれません。


リストアップしてみるとナルキっぽい描写を片岡ともさんが意図的に作中内で散りばめていた事がよく分かります。 それだけナルキッソス という作品はライターにとって思い出深い作品なのだと、よく分かります。




●テーマについて
上でナルキとの類似性を述べましたが、相違点もあります。 それはメインテーマについてです。

まずナルキについてですが、「急な日常の変化に伴う絶望や諦関・生きた証の受け継ぎ」などが主となるテーマです。

一方で雨のマージナルでは、序盤の死も生も選べない主人公の心境や一人で雨の世界で暮らすリンの感情を以ってして「変わらない日常、恒常的な世界への悲観」が描かれています。
これは真逆とも言えるテーマで、終盤でリンが現実に戻る際に郎女に記憶を消される場面など(展開上、完全に消去されたわけでは無いが…)ある意味では、ナルキシリーズ共通テーマである「受け継ぎ」を全否定しているようなものです。

私はライターの意思を読み取るタイプの考察は苦手なので何ともですが、片岡ともさん的には平和と退屈を履き違えるなと伝えたかったとか思ったりしました。




●全体を通して
本作は超短編+設定の説明が割と多いなどの事からメッセージ性や単純なストーリー性は片岡ともさんが書いた他の作品に比べて弱く、どちらかと言えば雰囲気の描写に力を入れていたように感じました。
また盛り上がりや感動シーンも薄味なので期待しすぎると痛い目を見るかもしれません。しかしながら全体的には完成度が高いのでオススメ度は結構高いです。
個人的には満足のいく作品でした。





まとめ
ステージななの中では、やや評価が低いですが流石は片岡ともさん 一定以上の水準には仕上がっていました。 こうなってくると、これから手を付ける冬のポラリスやバブルテーマの次回作にも期待が高まるところ…
ねこねこ及びステージななには、これからも良い作品を出していって貰いたいものです…

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