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わたのそこ、おきつみかみの 九段坂怪奇叢書 感想

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作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
サークルねこバナナから出た同人 伝奇ノベルゲー Omegaシリーズと違って単発モノ(の予定らしい…)なのでサクッとプレイし終えられるのが利点
Omegaや或るファのような小難しいポエムや意味不明な造語によるやり取りが殆ど無いのでサークルの雰囲気を掴むにはオススメの作品です。
結構短めで2〜3時間ぐらいで終わる感じでした。

[評価点]
シナリオ:B+
キャラ:B
ビジュアル:S+
世界観:A
演出:B
音楽:A
オススメ度:B

総合点 75点



感想
目立って面白い!って言える点は無いけど全体を通してのモチーフやテーマがずば抜けてセンスを感じた作品でしたね〜
現実の民俗学でも良く聞く、人魚伝説や実は怖い子守唄なんかを巧くストーリーに落とし込めてたかなって感じ
個人的に良いと思ったのは最終盤に出てきた、斬首台と通常の鳥居を混ぜ合わせたようなデザインの鳥居ですかね。これだけでもう一個エピソードかけそうなぐらいワクワクさせる設定!

残念な点はボリュームの少なさによる駆け足気味なところ… 登場人物が次々と死んでくっていう展開はいいんだけど、死ぬスピードがマジで早くてあれもうもう?って感じで置いてけぼりくらいガチ……
もうちょい尺とってキャラ付をしっかりしてくれたら死んだ時にあーってなるんだけどなぁ〜
磨けば光りそうな作品だけに残念











考察

人魚伝説について
本作におけるメインとなるテーマが人魚伝説です。ここでの人魚はありがちな不老不死の源や半人半魚としてでは無く、どちらかと言えばマイナーな予言獣として描かれていました。 予言獣で有名どころだと、人の頭を持った牛、「件」やら疫病を予言する「アマビエ」そして今回の元ネタであろう、女性の顔を持った魚である「姫魚」なんかがいますね。

これ以外にも人魚姫伝説の声が出ない設定やら、現代妖怪ことヒトガタ&ニンゲンなんかもモデルにしていそうです。


これらを組み合わせて、声を手に入れ(生贄としての人首を使い)人々に予言を行う人魚として本作に登場しているわけですね。
予言獣の多くが人面、人魚姫伝説の人魚は声が出せない、生贄の定番 人首を混ぜ合わせたのはセンスを感じました。元々は首が無いという設定が本当に面白いですよね… 一応自分なりに調べてみたんですけど、首なしの予言獣はいなかったので本作のライターオリジナルっぽいです。












首無き魚について
作中にて首無き魚と少女が恋に落ち駆け落ちする、おとき話が登場しますが、この伝承の意味について考えていきます。

まぁ十中八九、首無き魚=海からくるもの(アリエたち人魚を作った深海文明)ですかね。 伝承を説明する際に「首無き魚=エイに酷似」という描写もありましたし、EDムービーでの大トリを飾る 海からくるものらしき絵もエイっぽく描かれていることからも分かります。

結婚した伴侶である、少女の故郷を災害から救うために人魚を差し向け予言を伝えるといったところでしょうか?
まぁその災害の一部が自分たちのせいとはいえ…












人首について
首を切るという行為が作中にて、多く登場します。
首無き魚のおとき話でも少女の首を切って駆け落ちしますし、そもそもの本人も「「首無き」」と表現されています。
その他 登場キャラの過半数が首を切られ殺されています。 地元のお土産でも人首と… 更にはエピローグでは斬首台に似た鳥居まで出てくる始末です。
では、わたのそこという作品における首を切るといった行為はどういう意味を持つのか?

この問いについて重要になってくるのが、最後の最後 斬首台鳥居のある村に伝わっている子守唄です。
頭(こうべ)、頭(こうべ)よこせ〜という歌詞で本作品のテーマソングにも使われています。そして一見残酷なこの歌詞も正しい意味は全く真逆で



「「なんと愛しきものよ」」



このような意味合いを持つのです。
この子守唄は海からくるものによって伝わったものであるならば、つまるところ首を斬る=愛情表現 こうなるわけです。

元々首無き魚と表現されている生物ですから、彼らにとって首は身体構造的に重要では無いのかもしれませんね、人間が髪の毛を切って遺物にするような感覚なのかもしれません…












エピローグの意味
エピローグでは、アリエらニギこと人魚の伝承がある別の村についてのレポートが登場しました。
そもそものタイトルが九段坂怪奇叢書ですし主人公である九段坂山彦くんの怪奇叢書シリーズはまだまだこれからだぞという事でしょうね。オカルト系の調べものをしつつ、いなくなってしまったアリエを待つのでは無く、自ら動いて探し出してやろうといった意思が伝わってきます。
俺たちの戦いはこれからだENDではありますけど、最後に希望を見せてくれる終わり方は良いものです。










Omegaシリーズとの関連
まず毎度お馴染み “ねこざんまい“ 経由での同一世界観が示唆されていましたし、「空は天狗、陸は猫、そして海の人魚」とのテキストもあったのでクロスオーバー作品が出るのも期待出来るかもですね〜
なんにせよ次の新シリーズは天狗テーマで確定しそうですし、いくらでもエピソード作れそうなんで、わたのそこも続編がありそうですね〜 楽しみです。












総評
[総評]
本当に読みやすくなっているので人に勧めやすくなっているのが一番の評価点ですかね? 或るファ グザイは、相変わらずなので本作は意識して簡単にしてそう…
その分トゲが無くなって爆発力も少なくなったけど単発の短編ならそれでも良いのかな〜って感じの作品でした!

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