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黄昏のエロゲ感想

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死月妖花 感想

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作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
同人サークルNew++よりリリースされたフリーノベルゲー
プレイ時間80〜140時間と圧倒的なボリューム、非常に凝った演出、飽きさせないゲーム要素と製作者の拘りがこれでもかと詰め込まれた作品です。
ジャンルとしては伝奇+SFで神、幽霊、宇宙人等ファンタジー色の強めな伝奇ゲーの中で現象に科学的根拠をつける一風変わったものに仕上がっていました。


[評価点]
シナリオ:S+
キャラ:S+
ビジュアル:C
世界観:A
演出:S
音楽:B
オススメ度:B-

総合点 93点



感想
まずなんと言っても一番の特徴が圧倒的なボリューム本編だけでも凄まじい文章量なのに辞典、雑談、リファレンス等を合わせて、とんでもない事になっていますw かと言ってライターの独りよがりにはならず要所要所でプレイヤーの事を思ってのシステム等が見受けられたのが好印象でした。


また長いだけでは無くシナリオとしての完成度 エンタメ性 演出なども文章量に負けないレベルに仕上がっていました。

音楽&キャラデザに関してはやはり同人らしく今一歩、特にキャラデザに関しては、やはり微妙な印象を抱いてしまいます。(基本的に立ち絵は単色シルエットになっているのでほぼ気にならないといえば気になりませんが…)

では早速考察に入っていきましょう。










考察

●本作のジャンルについて
ホラーサスペンスと銘打ってはいますが、個人的に感じたのは伝奇SFですかね〜やはり…

一見ファンタジーに見える未来予知、動く死体、圧倒的に身体能力なども全て古代から存在する菌類 死月妖花が原因とし現実にいるナラタケやロイコクロリディウム、化学成分などを例に出して説得力を増して描写しています。
これが中々に面白く、どうせとんでも宇宙人などと予想していると痛い目を食わされますねw


特に面白く感じたのが、作中ですら最終盤までオカルト扱いされていた予知能力のギミックですかね、要は予知では無く予想であったと… 少し納得しづらい部分はありますが、まぁ違和感はごく微小












伏線について
本作のシナリオにおける一番のポイントが綿密に作り込まれた設定による伏線回収です。 例えばハルカの通院描写、例えばナツミの予知能力等 あの時のあの出来事はこうだったとキチンと明記されているのが良かったです。

またポッと出の設定もほぼ無くラスボスの糸姫も最初の書簡リファレンスで登場してますし、能面ちゃんの正体がハルカである事も雑談にてしっかりと伏線が張られていました。(濃い味が好き、文系科目特に地理が得意、巨乳など)


ただナツミとハルカの姉妹設定だけは伏線が見つけられなかったのは残念でした。割と重要な点だと思ったんですけどね…もっとも自分が見つけられなかっただけかもしれませんが…












演出について
ここも中々に凝ったものを感じました。
一番印象に残っているのは中盤 進行率が100%になってからの演出ですかね…
能面ちゃんの正体発覚からの新ルートが出て進行率が下がっていくーーーー

あれだけ頑張って進めたながーいシナリオが全体の半分以下44%しかなかったあの衝撃ですよ。 正直リファレンスとかが少し残ってるから、100%になっても後少しはあるだろうな〜と予想できるっちゃあできますが、それでも100%から44%まで下がるのが予想外すぎましたね。 ただやはりリファレンス類である程度は覚悟できるんで一層の事リファレンス自体も100%超えてから新たに出現とかでも面白かったかも


100%超え以外だとやはり最終盤ですかね、今までは主観のキャラ名と日付のあった場所に最初に入力した名前とプレイ時の日付が表示される展開はめっっっちゃ粋ですね!
ただその後が少しクドさを感じたので、あそこで一気にハルカを救ってって流れのがもっと良かったかも
特に最終盤に来てのバッドエンドは別に無くてもいいのかなー?って思います。












ゲームシステムについて
本編のエピソードを読み 溜まったポイントを消化してレポート&書簡リファレンスを解禁するのが基本的になシステムとなっています。
リファレンスでは、ゲーム内での謎部分の補完と推測的な要素が強いのですが、ポイント量の関係上 終盤は謎が解けた後リファレンス閲覧になってしまっていたのが残念でしたね… 少ない描写とリファレンスを照らし合わせての推理も一つの楽しみであったと思うので…












全体の流れについて

上で説明したとおり書簡&レポートリファレンスで大まかな流れと設定を把握する事が出来るので以下に省略したまとめを書いていきます。


書簡リファレンス

1180年 平清盛が緑の目を持つものを探す。

1180年 飛騨国山中で食べられた人の死体発見 荒田の薬の関係か?

1210年 荒田集落を守る為の掟 発送
ナタ ハンマー 能面 赤い衣装はこの時に定めれた

1555年 荒田桜からドローガを作る方法が発見される

1560年 荒田へ移り住んだものが薬を使い天下を統一し平和な世にしようと計画 外国人宣教師で以降荒田集落に外人のような見た目の子供が生まれるようになる。

1560年
移り住んだ外国人宣教師が村付近にいた足軽にドローガを渡す。
織田軍が薬を使用していたのはこの為

1561年 織田軍と戦ったものの中にナツミと同じ予言を手に入れるもの発見
やはり薬の副作用か?

1562年 荒田集落にて外のもの嫁入りの際の試験が発足する。(新村母が受けたもの)

1598年 大殿(豊臣秀吉)に近いものが山で妖魔(動き回る死体)を見つける、彼らは互いに殺しあっていた。=ドローガを使用した村人と宣教師との争い

1599年 4/15
妖魔との戦いで生き残った者が、死んでしまった者を掘り起こし、死体を賛美しだし、その後 失踪し荒田桜となった。その数男子20名 女子3名
第三世=妖魔? 第三世代の血を浴びた者が第四世代となり、後に荒田桜となる?

1599年4/15
住民の1人が失踪する直前にアポカリプティックサウンドを聞き、その後15歳ほどの赤装束を着た少女が現れたのを目撃 失踪者は少女を女神様と呼び後をついていった。
少女=全ての元凶?

1599年 荒田村で男が減少(光の紛争&失踪=妖魔との戦い) 女も強くあるべきと訓練が発足

1600年 6/1
ドローガの使用が禁止される。

1610年 少女が両目をえぐり自殺、その後 魔女として死体を保存することになる。

1612年 10/7
両目をえぐり自殺した少女がヴェルジ様として村人に崇められ住民失踪事件の時に現れた赤装束の少女に対抗すべき存在となる。
※リファレンスNo.156ではヴェルジ様が翠眼呪殺の原因とされ封印されている描写あり。赤装束の少女とヴェルジ どちらが呪殺の元凶なのか?

1725年 1/6
100年以上続いたヴェルジ様への信仰が薄れ信仰心も無くなる。

1729年 11/25
ヴェルジ様の信仰も完全に無くなり、村人も掟を破り放題な状況となる。

1730年 3/20
ドローガ使用も解禁され、その影響で当時の大魔女が第三世代となってしまう。過去に起きた失踪事件を繰り返さない為に、赤い装束の少女(女神)を殺すことを決意、この際女神に死月妖花と名付ける。(タイトル回収)
またヴェルジ様は、女神に対抗するものでは無く逆に忠実なるシモベであると判明、封印を施すことになる。
※リファレンスNo.156の伏線回収

1730年4/21
ヴォルジを封印した大魔女が自らを犠牲(恐らく死亡)に邪女神の撃退の成功

1760年4/10
翠眼を屠る描写
これ以前にはこのような描写は無いので1730年の大魔女が翠眼の呪いを見抜いたのか?

1800年 12/18
封印されし女神のミイラを村人が発見
祭り上げようと提案する。
(恐らくヴォルジ様だと思われる)

1856年6/14
100年ほど前300年ほど前にドローガ使用は禁止(300年前は1600年のドローガ禁止の件だが100年前の件は不明)されていたが、それだけではダメだと思い、列強へ対抗するため、また災いが起きた理由を調べる事に荒田の民は徳川将軍にドローガを献上させた。

1866年 荒田集落から徳川幕府に薬が献上される。この際 献上しにきた荒田の男と恋に落ちた天才少女の物語が外伝リファレンス

1866年 4/19
幕府に薬を献上した男 晃が、天才少女桔梗に対する思いを綴った手紙
お互い、思い人ではないものとの結婚を迫られている状況
晃の母親は息子の結婚に賛成している。




レポートリファレンス

1935年 篠崎ハジメが幕府へ献上された薬を第二次世界大戦に利用しようと考える。その為に新村桔梗とコンタクトを図る。

1935年 4/11
篠崎が桔梗と会って話を聞く。薬の原料が荒田固有の桜と判明
2020年の荒田に桜がほぼ無いのはこの時持っていかれた可能性大

1935年 5/1
薬の摂取方が気体摂取から液体摂取 注射器型へと変化

1935年 6/10
薬使用時の安全な方法が確立
オーバーワークを避ける事で死亡率を抑えられる事が判明

1936年 4/1
薬の副作用による予知能力の発症が確認 発症者の一部は片目が緑へと変化

1936年 4/7
危険予知能力発症の条件に薬品Dを摂取したものの血液に触れる必要がある事が判明。ただしそのほかにも条件はある模様

1936年 4/16
予知発症条件判明、また発症時の状況によって予知発動条件が決まる。
つまりサクラは狭く暗い場所で血液を頭部粘膜に浴びたといえる。

1936年 4/18
予知が発動する際の体調不良は心理的トラウが原因ではないと判明

1936年 9/30
薬品Dには胞子が含まれていると判明

1936年10/10
荒田桜は桜を模した菌類やシダ類で人を繁殖経路として繁栄する植物ではないかという考察
それが真実なら薬品D接種者および、予知能力者は荒田桜に寄生されていることになる

1936年 1/9
頭部粘膜への血液付着による予知能力発現者の血液を同じように別の人物へ付与すると、こちらも予知能力が発現した。
その際 片目が緑に変化が見られた

死月編ラストでハルカの片目が緑になったのは、どこかのタイミングでナツミ(第2世代)の血液が唇に付着した?

1937年 3/2
薬品Dは兵器適正が無いとされ研究は停止、以降 新生物として荒田桜の研究が主体となる

1937年3/25
殺意衝動が発症した第三世代の皮膚表面には微細な芽が生え、そこから胞子が放散されていた。
第三世代の殺意対象は第二世代と第三世代、第一世代は対象外

1937年4/19
翠眼呪殺による、1、2世代また3世代の死は荒田桜繁殖のためのキーポイントであるという推察が行われる。


1937年6/23
1560年に宣教師(荒田の動植物の研究を行なっていた)がドローガを渡した足軽豊臣秀吉であったが、その秀吉の代でドローガは歴史から姿を消した。
その理由はドローガの危険性が所以か?ドローガによる災いは1599年のお互い殺しあう死体の件以外に二度起きていたらしい。

1937年7/20
1598年に荒田集落で起きた、初の翠眼誕生とそれにより引き起こった殺人事件についてのレポート
1598年代 最後の翠眼はトミという少女 時代的に1610年に緑目をえぐり自殺した少女=トミの可能性大

1937年12/4
1598年に起きた荒田集落の住民が一斉に消えた事件についての再現実験を計画する。

1937年12/16
最後の翠眼トミが殺意に耐えきれず1610年に緑目を抉り自殺
村人は自らを犠牲に荒田集落を守ったとしてトミの死体をミイラのにし以降ヴェルジ様(ポルトガル語で緑の意)とsて崇める事にした。
やはりトミ=ヴェルジ様で正解のよう

1938年5/21
荒田桜の繁殖方法が判明
1、2世代が3世代の死体から発生する特殊な胞子に触れることで1、2世代が第4世代となり最終的に、4世代の体から発芽する。

1938年 6/30
荒田桜が1〜4世代を経由する複雑な繁殖方法を選んだ理由に関する考察
桜に擬態するのはより多くの宿主を見つけやすくするため、時間をかけた繁殖方法は荒田桜を危険視させないためであると判明 その他 予知や翠眼の理由も説明可能となった。

1939年 3/30
第3世代の殺人衝動抑制に関する研究
殺人衝動は脳神経の乗っ取りであり、体を直接動かしているわけでは無いので気絶、薬物等で意識を無くせば抑制可能
また15歳以下で初潮を迎えたものは神経系統が未発達なため殺人衝動を自力で抑えられる場合あり(約3割の可能性)

1939年 5/6
殺人衝動の治療に関する研究
ファルシフィカソ(薬品F)の使用 又は体内の胞子を輩出する(血液の入れ替えなど)方法が有効とされる。
※第3世代の予知及び殺人衝動の条件に桜の花粉が必要だが、これは荒田桜ではなくソメイヨシノのものでも問題ないことが判明

1939年8/2
世代ごとによる胞子の役割のまとめ
基本的には新しい情報は無いが、第2世代の四月病は感染時のトラウマを無くすと完治する場合ありと判明

1939年8/2
第3世代の目が緑になるのはメラニン量の変化するためだと推測、緑になり目立つことで災厄の象徴として殺されやすくなる。

1940年4/8
第4世代についてのまとめレポート




これらを参照する事で序盤中盤などの謎描写や不可解な点をうまく説明する事が出来ます。破綻などが無いのはすごいですね…


例えば100%超えの演出の際に出てきた大量の質問のも下記のように説明する事が出来ます。(一部抜粋)


呪殺事件とはなんだ→死月妖花が住民を追い出すために起こした殺人

お前は何者だ→死月編ラストでナツミを殺した世界線のハルカ

ドローガとはなんだ→死月妖花が宿主に根を食べてもらうために与える恩恵

危険予知能力とはなんだ→死月妖花の胞子を媒体にした未来把握能力

あの後、何が起きた→元木町が毒ガスまみれ

女ヶ沢市事件の正体は何か→チガヤに対してファルシフィカソを使用して大丈夫か判断するため









残念だった点
ここまでは結構ベタ誉めでしたが少し残念な部分も書いていきたいと思います。

先ずはやはり絵のチープさですね。同人ということを加味してもクオリティが良いとは言えず、所謂 味があるタイプでも無いのでインパクトも薄いです。
それに伴ってか一枚絵も登場回数が少なくて文章量と比較したらほぼ無いに等しいです。


次は盛り上がりにかける点です。
上で書いた一枚絵の少なさも原因の一つかもですが、うぉぉおおお!ってなるようなシーンが本編内で少ないです。(血まみれverハルカ関連の演出では割と多いです)
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ラストバトルも燃えるって感じよりも最後の解決って感じですね。事前の糸姫の下りでもそうですが勧善懲悪って訳でも無いので難しいのかもしれませんが…
個人的に一番盛り上がったのは死月編BADENDでカナがドローガを打って村人相手に無双する場面ですね。謎も解明されてないシナリオ段階ですし単純なかっこよさやエンタメ性という意味ではあそこがピークだったかもです。









あとがきの謎について
最後にあとがきに出てきた謎
サクラが送った荷物からファルシフィカソだけを持ち去った人物に関して推理をしてみたいと思います。

提示された条件は名前が出ている事 発言がない事 立ち絵がない事です。
ここに付属して、ファルシフィカソやドローガ等 死月妖花を知っている事 荒田集落の付近にいる事などが推測できます。

個人的に一番怪しいのは実験データを受け継いだ篠崎ハジメ氏の後輩とやらだと思いますね〜(名前が本編内で出てた筈ですが、全然気にしていなかったので見つけることができませんでした…)
立ち絵も発言も無く、死月妖花についてを把握しており、国の命令で荒田集落を見張っている人物(筈の)です。確認していない名前以外は全て条件に合致するので有力候補だと思われます。
動機までは分かりませんが、それらのエピソードが追加されたら判明するかもですね〜











総評
[総評]
世界観 設定 伏線 シナリオ キャラ 様々な面で商業モノに引けを取らない、モノによっては超えてるかもレベルの本作

やはり絵のチープさやプレイ時間なんかで実際にプレイまで漕ぎ着く人は少ないでしょうが、一旦初めてさえしまえば最初に一歩さえ踏み出せば後はトントン拍子で進んでいける魅力があります。
1人でも多くの人に死月妖花という作品に触れてほしいそんな風に思わされくれる神作です!

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