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黄昏のエロゲ感想

エロゲ感想ブログ たまにオススメ書いたりする。

アサガオは夜を識らない 感想

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作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
ブランドMELLOWの2作品目
発売前から雰囲気の良さげなパケ絵&設定、タイトルのオシャレさ、体験版部分ラストの引き等 売れるだろうなと思わせる部分がチラチラ見受けられ実際それなりに話題になっている本作(飛び入りでゆずが来なければもっと話題になった筈ですが…)
少年犯罪をモチーフにしたクローズドサークルモノでありがちと言えばありがちですが、若干の描写不足はあれど全体的に纏まった出来であると感じました。
実際発売後もそこそこの評価を得ており個人的にも次回作に割と期待してます。


[評価点]
シナリオ:A-
キャラ:B+
ビジュアル:S
世界観:A
演出:B
音楽:B
オススメ度:A

総合点 73点



感想
まず一番印象に残ったのはエッチシーンの多さですかね〜 総プレイ時間10時間程度とロープラ相応のボリュームですが、3キャラ×5シーン 合計15シーンと抜きゲーとまでは言いませんが、シナリオゲー扱いするには些か多すぎるかなと感じましたね。
と言っても、シナリオ部分も決しておざなりにしてる訳でも無く普通に楽しめたのは良かったですね。そこまで描写が濃かったとも思えないので構成やらストーリー展開が上手かったんだと思います。
重要なテーマである犯罪や精神障害に関しても死性愛、麻薬中毒、教唆犯、偏執病、尊属殺人とバリエーションに富んでいたのも良かったですね、特に少年犯罪としては最もインパクトの強い殺人を行ったのが主人公とメインヒロインのアサガオ、序盤から暗躍していた夜葉の3人と安売りし過ぎていないのも良いです。

あと印象深かったのはやはりラストのENDですね。明らかに主人公死亡ENDを正史 トゥルー扱いしていましたし、そう言った意味ではよくぞ日和らずに踏み切ってくれたなと思わせてくれました。



考察

テーマについて
本作のテーマは、少年犯罪と精神障害
特にアサガオの障碍である死性愛についてピックアップして描かれていました。

しかしながらアサガオ以外はやはり描写不足が目立ち、小鳥なんかは薬物に手を出した理由や生い立ち その後の立ち直りなどが比較的わかりやすく明記されていましたが、みこに関しては掘り下げが全然足りていないまま終了してしまっています。教唆犯とは言いますが、具体的にどのような事件を起こしたにか不明で偏執病の根本も結局父親が原因だったのか判明せず、名前を呼んだだけで本当に治っているのかも怪しいですね。
その他 主人公や奏楽、村崎、夜葉、院長等の精神障害に関してももっと詳しく書いてほしかったですかね。












少年犯罪について
あからさまにケーキを切れない少年たちを意識しているように思えました。実際に作中でもアサガオがケーキを人数分切れないシーンがありましたし、院長の考えである善悪の区別をする思考能力すら無いから締め付け統一するしかないという考えなどからも伺えます。

実際にラスト1〜3寮が一斉に暴動を起こした際も院長失脚が目的なのにそれを理解できず緑華を襲う場面などもある事からライター的にもある程度院長の考えに賛同する面があったのだと思います。

しかしながら最終的には院長は没落、締め付けの無くなった事でヒロイン達はそれぞれの夢を叶えている事からも、思考能力を放棄させるのではなく個々の成長を促すのが正しいとして物語を締めています。(ストーリー的にその方がスッキリするかもしれませんが…院長失脚の描写が極端に少なかったのは思考能力の欠如を否定し切れなかったから?)












精神障害について
精神障害については一貫して治せるものとして描かれていました。実際小鳥の麻薬障害も、みこの偏執病も、主人公の尊属殺人による記憶障害も作中で全て解決しています。

ただしアサガオは別です。上記3名は後天的な障害(院長が認めていなかったので偏執病が後天的なものとは言い切れませんが、まぁ十中八九そうでしょう。)なのに対し死性愛は先天的なものであり同性愛、異性愛などと同じ性的嗜好なので治る治らない以前の問題なんですよね。 トゥルーでも治ったのではなく欲求が満たされただけですし。緑華も直るようなものでは無いとハッキリ明言しています。ここからも分かりますけど、主人公卒業ENDでも遅かれ早かれアサガオは殺人をするでしょうね…









タイトルについて
終盤アサガオが死性愛者 好意を持つものが死近づけば近づくほど幸福を感じる障害だと判明してからは怒涛の展開でラストの主人公死亡ENDまで持っていきますが、タイトル回収もこの部分で行われています。
アサガオは夜(愛)を識らない、死性愛者であるアサガオは好きな人を殺さない限りは愛を知らず、ラストで思い人である主人公を殺すことで初めて夜(愛)を知ることとなります。最後の花束に入っている赤いガーベラの花言葉が「燃える神秘の愛」であり主人公とアサガオの愛の深さを表しているのも良いですね!
墓参りに洋花のガーベラ 特に赤い色を選ぶのはあまり一般的とは言い難いので深読みとかではない筈…です。

シンプルかつテーマに沿った良いストーリー展開ですが一つ思った事があります。それが夜=愛とした理由です。率直に考えるなら朝顔が夜になると花の蕾を閉じる事と殺人を起こすまでは愛を知ることが無いアサガオを掛けているのだとは思いますが、それだけでは、何だか弱い気がしますよね…
例えばアサガオが暗所恐怖症も発症していて夜に出歩けないとかの設定が有れば納得するんですけど、そんな事もないですしね…(独房行きになって1ヶ月暗闇の中にいた過去があるんですから、簡単にシナリオに組み込めると思うんですけどね…)











総評
[総評]
設定や世界観 テーマ性は特徴がありストーリーもそこそこ良くエッチシーンも充実 値段も安くてキャラデザのクオリティも高いと良い部分は沢山あり比較的オススメしやすい本作品

ただどうしても身構えてしまうパッケージと公式サイトなので期待しすぎると肩透かしとまではいかないにしてもモヤモヤするかもしれないです。体験版部分終了からのOPが文字通り神がかっているのも要因の一つですかね…
肩肘張らずラフな気持ちでプレイすると良いんじゃないかなと思います。総合的には良作寄りの佳作ってとこですね〜

スワローテイル 感想

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作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
NIKOの2作目として発売された本作
過去と未来を交互に描写していく技法をとっており、前中半までは過去のトラウマ脱却 終盤よりSF展開という珍しいといえば珍しいストーリーに仕上がっています。
圧倒的なボリューム不足や、ルート格差などが見受けられますが光る部分のある良作です。

[評価点]
シナリオ:B+
キャラ:A
ビジュアル:A+
世界観:B+
演出:S+
音楽:S+
オススメ度:B

総合点 76点



感想
プレイして直ぐの率直な感想としては、ひっじょーに惜しいなってもうちょっと頑張ればなーって感じです。
まず1番の問題が上でも書いたボリューム不足な点 全5ルート(実質4ルート?)ですが、1ルートあたり2〜3時間でクリアできてしまいます。共通は5時間ぐらいだったので合計で13〜15時間程度でしょうか…

別に短いことは悪くないですけど、無駄も多いんですよね、本作品…
まず優奈失踪という過去のトラウマからの脱却が表現したいなら、正直紗江子ルートは無駄ですし、将来の夢 未来ノ自分を描きたいなら、えりなか有華どちらかのルートがあればいいしで、全体的とっちらかってるんですよね… 格ルートしっかり尺とってテーマ毎に書き切る事ができるんなら別ですけど、現状ミドルプライス何の文章量でやる構成じゃないですね…


とはいえ良い部分も勿論あります。それは演出関係  特に引きの演出(起承転結の起承にあたる部分)ですね。

そもそもが過去と未来を交互に描いていて、主人公及び周りの問題要因は基本的に過去に起きてる訳ですよ。つまりは読み手側である此方は知らないのに登場人物達は知ってるという状況からスタートするんで意味深な会話が多くて単純に先が気になるんですよね。
そして名曲であるナツノヒを流すタイミングも完璧と言ってもいいでしょう。序盤にやたら自空間移動の豆知識を出しておいての優奈からのメール、これにより最初は現実的な設定かと思いきや、一気にSF?と思わせておいての実は犯人は理恵だったオチ
そっからは当初のイメージ通りSF要素ゼロ で進んでいきますが、架純ルートできな臭さを醸し出してからの理恵&優奈ルートで一気に終わっと思わせていたSF展開を巻き返す!これはうまいと思うましたね〜 本当のラストのオチをもう少し王道に持っていけてたら尚よかったかも。あれはアレで好きですけどねw


以上の事から悪い部分と良い部分の差が激しい作品ですかね〜 決して頭ごなしに褒めたり貶したるは難しいですし、中々人に勧めづらい感じです。




考察

テーマについて
本作では、大きくわけて2つあります。

1つ目が「過去との訣別」2つ目が「未来への意志」となっています。現代を軸に過去と未来へのテーマを描いていく感じですね。


基本的に過去との訣別に関しては優奈の失踪事件に対するトラウマがメインですかね。紗江子ルートだけは、させこ事件に対する引け目なんかもありますけども…
未来への意思はルート毎にバラバラですけど、分かりやすいのは有華の女優になりたい願望や紗江子と再び会う約束なんかですね。

大トリの理恵&優奈ルートでは、大元の失踪事件そのものを消す事でトラウマからの物理的な脱却をしつつ、優奈(架純)と再び巡り会えた後でも理恵を選ぶ事で精神的脱却も表現しているのは良いと思いました。












ラストについて
中々に人を選びそうだなと感じましたね… 優奈失踪世界線の優奈(架純)は幸せになっていないどころか、普通に不幸よりですからね。架純目線で見てももう1人の自分が幸せになっていくのを延々と死ぬまで見るだけですし闇落ちしてもふしぎじゃないかも。
そもそもが理恵を選んだ理由ってのが作中の描写だけでは、薄くて幼馴染だから程度しか分からないんですよね、子供時代のエピソードとかも無いですし。

別に理恵とくっつくのが悪いって訳じゃ無いですけど、だったら架純さんの幸せになるエンドも欲しかったなって考えちゃいますね。なんなら全部終わった後、架純ルートのぶつ切りENDと同じ世界線でOP前にあったメールのやり取りがもう一回起こって、神社で髪の毛を白く染めた架純さんが正体を白状する直前でENDからのナツノヒEDとかめっちゃ燃えそう。











紗江子について
多分ライター的にはあまり重要ではない?サブルート扱いなんでしょうけど、自分はこの娘のルートが一番楽しめましたね。

別れた理由っていう謎が最後の最後まで付き纏うんで飽きずに進められますし、過去と現在の2人がどんどん惹かれあって、また離れていく部分のリンクも文章構成に凄くあっているように思います。
ラストのオチが数年後で未来への意志もしっかりと描かれていますし。
短いながら序盤 中盤 終盤と隙が無いシナリオだったなと思います。他もこれぐらい仕上げてくれればボリューム不足も感じなかったかも。
初っ端が紗江子ルートだったんでちょい期待しすぎてたかもですねw













総評
[総評]
キャラ設定は良く、絵や音楽も世界観にピッタリなので雰囲気ゲーとしては結構な出来栄え。SFや青春モノとしてはやや描写不足 練り込み不足といったところでしょうか。
なんだかんだ、それなり楽しめたので途中でリタイアしてしまった同メーカー作のゴールデンアワーも何処かで再チャレンジできたらなと思います。
ナツノヒは神!

死月妖花 感想

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作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
同人サークルNew++よりリリースされたフリーノベルゲー
プレイ時間80〜140時間と圧倒的なボリューム、非常に凝った演出、飽きさせないゲーム要素と製作者の拘りがこれでもかと詰め込まれた作品です。
ジャンルとしては伝奇+SFで神、幽霊、宇宙人等ファンタジー色の強めな伝奇ゲーの中で現象に科学的根拠をつける一風変わったものに仕上がっていました。


[評価点]
シナリオ:S+
キャラ:S+
ビジュアル:C
世界観:A
演出:S
音楽:B
オススメ度:B-

総合点 93点



感想
まずなんと言っても一番の特徴が圧倒的なボリューム本編だけでも凄まじい文章量なのに辞典、雑談、リファレンス等を合わせて、とんでもない事になっていますw かと言ってライターの独りよがりにはならず要所要所でプレイヤーの事を思ってのシステム等が見受けられたのが好印象でした。


また長いだけでは無くシナリオとしての完成度 エンタメ性 演出なども文章量に負けないレベルに仕上がっていました。

音楽&キャラデザに関してはやはり同人らしく今一歩、特にキャラデザに関しては、やはり微妙な印象を抱いてしまいます。(基本的に立ち絵は単色シルエットになっているのでほぼ気にならないといえば気になりませんが…)

では早速考察に入っていきましょう。










考察

●本作のジャンルについて
ホラーサスペンスと銘打ってはいますが、個人的に感じたのは伝奇SFですかね〜やはり…

一見ファンタジーに見える未来予知、動く死体、圧倒的に身体能力なども全て古代から存在する菌類 死月妖花が原因とし現実にいるナラタケやロイコクロリディウム、化学成分などを例に出して説得力を増して描写しています。
これが中々に面白く、どうせとんでも宇宙人などと予想していると痛い目を食わされますねw


特に面白く感じたのが、作中ですら最終盤までオカルト扱いされていた予知能力のギミックですかね、要は予知では無く予想であったと… 少し納得しづらい部分はありますが、まぁ違和感はごく微小












伏線について
本作のシナリオにおける一番のポイントが綿密に作り込まれた設定による伏線回収です。 例えばハルカの通院描写、例えばナツミの予知能力等 あの時のあの出来事はこうだったとキチンと明記されているのが良かったです。

またポッと出の設定もほぼ無くラスボスの糸姫も最初の書簡リファレンスで登場してますし、能面ちゃんの正体がハルカである事も雑談にてしっかりと伏線が張られていました。(濃い味が好き、文系科目特に地理が得意、巨乳など)


ただナツミとハルカの姉妹設定だけは伏線が見つけられなかったのは残念でした。割と重要な点だと思ったんですけどね…もっとも自分が見つけられなかっただけかもしれませんが…












演出について
ここも中々に凝ったものを感じました。
一番印象に残っているのは中盤 進行率が100%になってからの演出ですかね…
能面ちゃんの正体発覚からの新ルートが出て進行率が下がっていくーーーー

あれだけ頑張って進めたながーいシナリオが全体の半分以下44%しかなかったあの衝撃ですよ。 正直リファレンスとかが少し残ってるから、100%になっても後少しはあるだろうな〜と予想できるっちゃあできますが、それでも100%から44%まで下がるのが予想外すぎましたね。 ただやはりリファレンス類である程度は覚悟できるんで一層の事リファレンス自体も100%超えてから新たに出現とかでも面白かったかも


100%超え以外だとやはり最終盤ですかね、今までは主観のキャラ名と日付のあった場所に最初に入力した名前とプレイ時の日付が表示される展開はめっっっちゃ粋ですね!
ただその後が少しクドさを感じたので、あそこで一気にハルカを救ってって流れのがもっと良かったかも
特に最終盤に来てのバッドエンドは別に無くてもいいのかなー?って思います。












ゲームシステムについて
本編のエピソードを読み 溜まったポイントを消化してレポート&書簡リファレンスを解禁するのが基本的になシステムとなっています。
リファレンスでは、ゲーム内での謎部分の補完と推測的な要素が強いのですが、ポイント量の関係上 終盤は謎が解けた後リファレンス閲覧になってしまっていたのが残念でしたね… 少ない描写とリファレンスを照らし合わせての推理も一つの楽しみであったと思うので…












全体の流れについて

上で説明したとおり書簡&レポートリファレンスで大まかな流れと設定を把握する事が出来るので以下に省略したまとめを書いていきます。


書簡リファレンス

1180年 平清盛が緑の目を持つものを探す。

1180年 飛騨国山中で食べられた人の死体発見 荒田の薬の関係か?

1210年 荒田集落を守る為の掟 発送
ナタ ハンマー 能面 赤い衣装はこの時に定めれた

1555年 荒田桜からドローガを作る方法が発見される

1560年 荒田へ移り住んだものが薬を使い天下を統一し平和な世にしようと計画 外国人宣教師で以降荒田集落に外人のような見た目の子供が生まれるようになる。

1560年
移り住んだ外国人宣教師が村付近にいた足軽にドローガを渡す。
織田軍が薬を使用していたのはこの為

1561年 織田軍と戦ったものの中にナツミと同じ予言を手に入れるもの発見
やはり薬の副作用か?

1562年 荒田集落にて外のもの嫁入りの際の試験が発足する。(新村母が受けたもの)

1598年 大殿(豊臣秀吉)に近いものが山で妖魔(動き回る死体)を見つける、彼らは互いに殺しあっていた。=ドローガを使用した村人と宣教師との争い

1599年 4/15
妖魔との戦いで生き残った者が、死んでしまった者を掘り起こし、死体を賛美しだし、その後 失踪し荒田桜となった。その数男子20名 女子3名
第三世=妖魔? 第三世代の血を浴びた者が第四世代となり、後に荒田桜となる?

1599年4/15
住民の1人が失踪する直前にアポカリプティックサウンドを聞き、その後15歳ほどの赤装束を着た少女が現れたのを目撃 失踪者は少女を女神様と呼び後をついていった。
少女=全ての元凶?

1599年 荒田村で男が減少(光の紛争&失踪=妖魔との戦い) 女も強くあるべきと訓練が発足

1600年 6/1
ドローガの使用が禁止される。

1610年 少女が両目をえぐり自殺、その後 魔女として死体を保存することになる。

1612年 10/7
両目をえぐり自殺した少女がヴェルジ様として村人に崇められ住民失踪事件の時に現れた赤装束の少女に対抗すべき存在となる。
※リファレンスNo.156ではヴェルジ様が翠眼呪殺の原因とされ封印されている描写あり。赤装束の少女とヴェルジ どちらが呪殺の元凶なのか?

1725年 1/6
100年以上続いたヴェルジ様への信仰が薄れ信仰心も無くなる。

1729年 11/25
ヴェルジ様の信仰も完全に無くなり、村人も掟を破り放題な状況となる。

1730年 3/20
ドローガ使用も解禁され、その影響で当時の大魔女が第三世代となってしまう。過去に起きた失踪事件を繰り返さない為に、赤い装束の少女(女神)を殺すことを決意、この際女神に死月妖花と名付ける。(タイトル回収)
またヴェルジ様は、女神に対抗するものでは無く逆に忠実なるシモベであると判明、封印を施すことになる。
※リファレンスNo.156の伏線回収

1730年4/21
ヴォルジを封印した大魔女が自らを犠牲(恐らく死亡)に邪女神の撃退の成功

1760年4/10
翠眼を屠る描写
これ以前にはこのような描写は無いので1730年の大魔女が翠眼の呪いを見抜いたのか?

1800年 12/18
封印されし女神のミイラを村人が発見
祭り上げようと提案する。
(恐らくヴォルジ様だと思われる)

1856年6/14
100年ほど前300年ほど前にドローガ使用は禁止(300年前は1600年のドローガ禁止の件だが100年前の件は不明)されていたが、それだけではダメだと思い、列強へ対抗するため、また災いが起きた理由を調べる事に荒田の民は徳川将軍にドローガを献上させた。

1866年 荒田集落から徳川幕府に薬が献上される。この際 献上しにきた荒田の男と恋に落ちた天才少女の物語が外伝リファレンス

1866年 4/19
幕府に薬を献上した男 晃が、天才少女桔梗に対する思いを綴った手紙
お互い、思い人ではないものとの結婚を迫られている状況
晃の母親は息子の結婚に賛成している。




レポートリファレンス

1935年 篠崎ハジメが幕府へ献上された薬を第二次世界大戦に利用しようと考える。その為に新村桔梗とコンタクトを図る。

1935年 4/11
篠崎が桔梗と会って話を聞く。薬の原料が荒田固有の桜と判明
2020年の荒田に桜がほぼ無いのはこの時持っていかれた可能性大

1935年 5/1
薬の摂取方が気体摂取から液体摂取 注射器型へと変化

1935年 6/10
薬使用時の安全な方法が確立
オーバーワークを避ける事で死亡率を抑えられる事が判明

1936年 4/1
薬の副作用による予知能力の発症が確認 発症者の一部は片目が緑へと変化

1936年 4/7
危険予知能力発症の条件に薬品Dを摂取したものの血液に触れる必要がある事が判明。ただしそのほかにも条件はある模様

1936年 4/16
予知発症条件判明、また発症時の状況によって予知発動条件が決まる。
つまりサクラは狭く暗い場所で血液を頭部粘膜に浴びたといえる。

1936年 4/18
予知が発動する際の体調不良は心理的トラウが原因ではないと判明

1936年 9/30
薬品Dには胞子が含まれていると判明

1936年10/10
荒田桜は桜を模した菌類やシダ類で人を繁殖経路として繁栄する植物ではないかという考察
それが真実なら薬品D接種者および、予知能力者は荒田桜に寄生されていることになる

1936年 1/9
頭部粘膜への血液付着による予知能力発現者の血液を同じように別の人物へ付与すると、こちらも予知能力が発現した。
その際 片目が緑に変化が見られた

死月編ラストでハルカの片目が緑になったのは、どこかのタイミングでナツミ(第2世代)の血液が唇に付着した?

1937年 3/2
薬品Dは兵器適正が無いとされ研究は停止、以降 新生物として荒田桜の研究が主体となる

1937年3/25
殺意衝動が発症した第三世代の皮膚表面には微細な芽が生え、そこから胞子が放散されていた。
第三世代の殺意対象は第二世代と第三世代、第一世代は対象外

1937年4/19
翠眼呪殺による、1、2世代また3世代の死は荒田桜繁殖のためのキーポイントであるという推察が行われる。


1937年6/23
1560年に宣教師(荒田の動植物の研究を行なっていた)がドローガを渡した足軽豊臣秀吉であったが、その秀吉の代でドローガは歴史から姿を消した。
その理由はドローガの危険性が所以か?ドローガによる災いは1599年のお互い殺しあう死体の件以外に二度起きていたらしい。

1937年7/20
1598年に荒田集落で起きた、初の翠眼誕生とそれにより引き起こった殺人事件についてのレポート
1598年代 最後の翠眼はトミという少女 時代的に1610年に緑目をえぐり自殺した少女=トミの可能性大

1937年12/4
1598年に起きた荒田集落の住民が一斉に消えた事件についての再現実験を計画する。

1937年12/16
最後の翠眼トミが殺意に耐えきれず1610年に緑目を抉り自殺
村人は自らを犠牲に荒田集落を守ったとしてトミの死体をミイラのにし以降ヴェルジ様(ポルトガル語で緑の意)とsて崇める事にした。
やはりトミ=ヴェルジ様で正解のよう

1938年5/21
荒田桜の繁殖方法が判明
1、2世代が3世代の死体から発生する特殊な胞子に触れることで1、2世代が第4世代となり最終的に、4世代の体から発芽する。

1938年 6/30
荒田桜が1〜4世代を経由する複雑な繁殖方法を選んだ理由に関する考察
桜に擬態するのはより多くの宿主を見つけやすくするため、時間をかけた繁殖方法は荒田桜を危険視させないためであると判明 その他 予知や翠眼の理由も説明可能となった。

1939年 3/30
第3世代の殺人衝動抑制に関する研究
殺人衝動は脳神経の乗っ取りであり、体を直接動かしているわけでは無いので気絶、薬物等で意識を無くせば抑制可能
また15歳以下で初潮を迎えたものは神経系統が未発達なため殺人衝動を自力で抑えられる場合あり(約3割の可能性)

1939年 5/6
殺人衝動の治療に関する研究
ファルシフィカソ(薬品F)の使用 又は体内の胞子を輩出する(血液の入れ替えなど)方法が有効とされる。
※第3世代の予知及び殺人衝動の条件に桜の花粉が必要だが、これは荒田桜ではなくソメイヨシノのものでも問題ないことが判明

1939年8/2
世代ごとによる胞子の役割のまとめ
基本的には新しい情報は無いが、第2世代の四月病は感染時のトラウマを無くすと完治する場合ありと判明

1939年8/2
第3世代の目が緑になるのはメラニン量の変化するためだと推測、緑になり目立つことで災厄の象徴として殺されやすくなる。

1940年4/8
第4世代についてのまとめレポート




これらを参照する事で序盤中盤などの謎描写や不可解な点をうまく説明する事が出来ます。破綻などが無いのはすごいですね…


例えば100%超えの演出の際に出てきた大量の質問のも下記のように説明する事が出来ます。(一部抜粋)


呪殺事件とはなんだ→死月妖花が住民を追い出すために起こした殺人

お前は何者だ→死月編ラストでナツミを殺した世界線のハルカ

ドローガとはなんだ→死月妖花が宿主に根を食べてもらうために与える恩恵

危険予知能力とはなんだ→死月妖花の胞子を媒体にした未来把握能力

あの後、何が起きた→元木町が毒ガスまみれ

女ヶ沢市事件の正体は何か→チガヤに対してファルシフィカソを使用して大丈夫か判断するため









残念だった点
ここまでは結構ベタ誉めでしたが少し残念な部分も書いていきたいと思います。

先ずはやはり絵のチープさですね。同人ということを加味してもクオリティが良いとは言えず、所謂 味があるタイプでも無いのでインパクトも薄いです。
それに伴ってか一枚絵も登場回数が少なくて文章量と比較したらほぼ無いに等しいです。


次は盛り上がりにかける点です。
上で書いた一枚絵の少なさも原因の一つかもですが、うぉぉおおお!ってなるようなシーンが本編内で少ないです。(血まみれverハルカ関連の演出では割と多いです)
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ラストバトルも燃えるって感じよりも最後の解決って感じですね。事前の糸姫の下りでもそうですが勧善懲悪って訳でも無いので難しいのかもしれませんが…
個人的に一番盛り上がったのは死月編BADENDでカナがドローガを打って村人相手に無双する場面ですね。謎も解明されてないシナリオ段階ですし単純なかっこよさやエンタメ性という意味ではあそこがピークだったかもです。









あとがきの謎について
最後にあとがきに出てきた謎
サクラが送った荷物からファルシフィカソだけを持ち去った人物に関して推理をしてみたいと思います。

提示された条件は名前が出ている事 発言がない事 立ち絵がない事です。
ここに付属して、ファルシフィカソやドローガ等 死月妖花を知っている事 荒田集落の付近にいる事などが推測できます。

個人的に一番怪しいのは実験データを受け継いだ篠崎ハジメ氏の後輩とやらだと思いますね〜(名前が本編内で出てた筈ですが、全然気にしていなかったので見つけることができませんでした…)
立ち絵も発言も無く、死月妖花についてを把握しており、国の命令で荒田集落を見張っている人物(筈の)です。確認していない名前以外は全て条件に合致するので有力候補だと思われます。
動機までは分かりませんが、それらのエピソードが追加されたら判明するかもですね〜











総評
[総評]
世界観 設定 伏線 シナリオ キャラ 様々な面で商業モノに引けを取らない、モノによっては超えてるかもレベルの本作

やはり絵のチープさやプレイ時間なんかで実際にプレイまで漕ぎ着く人は少ないでしょうが、一旦初めてさえしまえば最初に一歩さえ踏み出せば後はトントン拍子で進んでいける魅力があります。
1人でも多くの人に死月妖花という作品に触れてほしいそんな風に思わされくれる神作です!

ドーナドーナ 感想

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作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
アリスソフト30周年記念の作品だけあってか、かなり気合を入れて作ったのが伺えます。
ゲーム性は初心者でも問題ない難易度なので、この手の作品に殆ど触れていない方でも楽しめるかと思います。ランスシリーズのようにナンバリングや事前知識がいらない分かなり取っつきやすい印象
ややストーリーに荒が有るのが難点


[評価点]
シナリオ:B
キャラ:S+
ビジュアル:S+
世界観:S
演出:A
音楽:B
オススメ度:A

総合点 90点



感想
シンプルに面白い作品でした。
特にゲームパートに関しては、ノベルゲー以外のエロゲをほぼやって来なかった自分としは新鮮さもあって物凄く楽しめました。
正直 絵とエロ目的で買った面が大きかったのですが、予想外にハマってしまいましたw

ただ全体的な完成度が高い分 細かい減点ポイントがいくつも見受けられたので、それらを考察にて書いていきたいかと思います。 若干辛口になるかも…











考察

ゲームシステムについて
本作では、大きくわけて3つのパートでゲームを進行していきます。


まずは、ヒトカリパー
メインキャラ達を使って物資や人材を奪うパートで恐らく一番時間をかける部分だと思います。倒せない敵などもレベルを上げればどうとでもなりますし、特定の作業をしないと絶対倒せない敵などもいないのでストレス無く進める事が出来ました。

終盤になってくると防御バフを張って威力の高い全体攻撃うっていれば大体どうにかなって飽きがくるのと、MPの仕組みが理解しづらく、いきなり技の威力が激減して戸惑うのが難点といえば難点でしょうか……



続いてハルウリパート
これは、個人的には少しイマイチでしたね… ハルウラレ系と銘打っていますが、ヒトカリに比べ優先度もそこまで高くなく、メンタルが減少に比べ増加させる手段が乏しいためストレスが溜まります。 一応 有用な個性を集めればメンタル減少を0にする事は出来るようですが、それをする手間があるなら、とっととレベル上げをした方が吉
中盤になるとハケンで大体どうとでもなるので、尚 ハルウリを行う意味が薄くなってきます。 自分も積極的にハルウリを行なっていたのは資金不足になりがちな序盤とアンエピックで武器ランクを一気にあげる時だけですかね…
あとはヒロインのハルウリシーンとかあっても良かったかもですね〜ポルノは確かに1シーンありますが、もともと非処女設定なので喪失感が薄くてイマイチですし。



最後がアジトパート
ここでは、人材の育成や仲間のステータスチェック、ショップでのアイテム購入など色んな事が出来ます。
基本的にはわかりやすいUIで良いのですが、親密度を挙げた際に見れるエピソードがランダム臭かったり、ショップで購入出来るアイテム量と消費が見合ってなかったりと不満はちょくちょくあります。



全体の流れとしては、ヒトカリで人材をGETしてハルウリでお金を稼ぎ有用なアイテムをショップで購入しつつ、ヒロインエピソードを消化
またヒトカリへといった感じでしょうかね〜 この点は分かりやすくて非常に助かりました。












ストーリーについて
世界観や雰囲気の作り込みは、凄く良かったです。登場するクラン&キャラも

「ナユタ」 カラーギャング 総合力
「フラット」 半グレ 頭脳派
「東雲派」ヤクザ 武闘派

等々、それぞれ違ったコンセプトが見られるのは好印象です。 ただちょっとクランの数が足りないように感じたので、もう1つぐらいあっても良かったかもですね。

舞台設定やキャラデザも主人公勢率いるナユタに準じて、原色多めの塗り、秩序に隠れた混沌が見え隠れする街
ディストピアものらしく、その世界では、主人公側が悪とされるのも王道で良いです。(もっとも本作に関しては、一般的に見ても悪とされる行為をしているわけですが…)


しかしながら肝心のストーリーは少し失敗してたかな〜といった印象です。
伏線を散りばめる割にはあまり回収されていなかったり、逆に伏線無しで割と重要な事件が起きたり等
例を挙げるとするならば、ジョーカーが被験体となっていた抗体の件やクマの姉
関係 外人の思惑やら呂布のドーピング描写 ザッパが亜総義の関係者&ミストリナの裏切りなどでしょうか。

ザッパなんかは中終盤に何処かのクランに裏切りものがいる伏線があったんですから、変に裏をかいてミストリナにその役を充てがうよりザッパでよかったんじゃないかなとか思ったりします。



伏線に抜きにして全体の展開としても割とワンパでヒロインが単独行動or攫われるの繰り返しで、かなりの大味シナリオ
終始 敵対していたフラットが最後に助けてくれるなどの王道展開もありましたが、演出が今ひとつでおぉおお!!感が全くありませんでした。 せっかくゲームシステムとリンクしたストーリーなんですから、強制負けイベからフラット登場とかのが良かったんじゃないかな?

とは言え印象に残るシーンもあったのでライターの力量が無いってわけじゃないと思うんですけどね…(ムラサキの「お前は悪すぎる」や品須の「30はお姉さんや」のシーンなんか特に好き)
まぁゲームパートありきなシナリオなんでヒトカリでレベリングとかしてるとプレイ中は気にならないのがマシな点かな











エロについて
エロは基本的に
主人公であるクマとヒロインの絡み
BADEND&救出が遅れた際の陵辱
ユニークヒロインのハルウリ

この3種類で構成されていて一部コレに属さない、ポルノ派遣やミストリナのHシーンなんかが数個あります。


ただ数が多い代わりに一つ一つが短く薄味なのが頂けないかなって思いました。ユニークヒロインのシーンは色んなシチュがありますが、元となるキャラ設定が殆ど無いに等しいので、うーんといった感じ…

ハルウリの感想でもちょっと触れましたが、メインヒロインのハルウリパートあっても良かったんじゃ無いかなとか思います。ぶっちゃけユニークヒロインはいらないかも。その分ザッパ 虎太郎とヒロインの絡みとかあったほうが全然アリですね〜個人的には…
もともと軽い寝取られ系っぽい評判聞いてたんで少し肩透かし エロ重視でやるもんじゃ無いかな?










総評
[総評]
世界感及び設定や雰囲気は抜群に良く
キャラも魅力的でゲームシステム特にヒトカリパートはかなり考えられたバランスです。総合点も非常に高い!
ただ良い点が目立つ分 悪い点 イマイチな部分なども見受けられます、特にストーリーなんかは改善点がいくつもあったり… エロは個人差によりますかね〜自分はもうちょっと過激にいっても良かったかなって思いました。

総合的に見たら結構高ポイント
メーカーの頑張りが伝わってくる作品でした!

蜜柑 感想

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作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
作中の主人公が描く物語を追体験するという、一風変わった設定の本作品
今でこそちょくちょくある構成ですが、発売当時の2001年では、かなり珍しい事が伺えます。 中々にこだわって作られたのか全体的に見れば佳作〜良作といった具合ですが、要所要所に名作たり得るオーラを感じる事が出来ました。
世界観が全く違う3作(現実編を含めれば実質4作)を楽しむ事が出来るので、飽きっぽい方でも最後までやり続けられるかと思います。 まるで何中夢の何写真みたいですねw


[評価点]
シナリオ:B
キャラ:B
ビジュアル:A
世界観:S
演出:B+
音楽:B
オススメ度:B

総合点 72点



感想
大手を振って面白い!と言えるものではありませんね… 変わった構成ありきといった感じです。

蜜柑は「病床にて」「怨毒の塊」「いつわりのおとこ」 計3つのエピソードを進めていく方式をとっているのですが、基本的にどれか1つだけを読み切る事が出来ず同時進行になってしまいます。 それ故に主人公の蜜柑への没入感や取り込まれていく描写を読み手側が実感出来ないのが難点だと感じました。
またトゥルーEND以外のオチがほぼ一緒なのも気になりました。せっかく3つの話を用意したのですから完結させる話によって現実編のENDを変えるなどをしてくれても良かったかな感
ただ当時としては斬新なシステムや繭実関係は目を見張るものがありますし、3つの話も序盤は正直動きが少なくつまらないですが、中盤過ぎたあたりから一気に展開が動き面白くなっていきます。特に病床にてのクローンのくだりは個人的に凄い刺さったのでコレをそのまま1作品に仕上げてくれても十分通用しそうだと思いましたね〜

なんだでしょうね… 期待以上でも以下でもない、想像していたのとほぼ変わらないものに仕上げてくれたなって、そんな感想を抱きましたw













考察

テーマについて
メインとして据えられているテーマは「未練への決別」であると自分は考えました。
病床にてでは、希目線での決別(過去に別れているクローン体たち)が表現されていましたし、怨毒の塊では繭実の呪い黒塊家と決別しています。 現実でも、そもそもの蜜柑の存在が主人公の希望、望みであり それを完結させ前へ進んだ事からも、過去のトラウマを腐食している事がわかります。

そういった意味で異質なのは、いつわりのおとこですかね… この話に出てくる主人公は記憶喪失で過去を持っておらず、繭実&希も似たような状態です。おまけに結末も別れや脱却とは正反対の終わり方でした。どちらか消えるはずの運命を変えて2人を1つの存在にするのは決別とは真逆の終わり方と言えますね〜
ですので、これにて関してはイレギュラー的存在 あえて真反対のテーマを描くことでメインを際立たせているのだろうと予想しました。 蜜柑を完結させなかったラスト BADENDのHAPPIYEND版とでも表現しましょうか。未練(願い)を抱いたままのラストという訳です。












繭実と希について
まず繭実の正体についてです。3つの話に異物として登場してきた彼女ですが、答えはシンプルで現実世界で主人公である素(はじめ)が過去に出会って仲良くなり そして離別した少女が元ネタです。

現実での繭実に関しては描写が少ないのでアレですが、
繭実と素出会う→仲良くなった繭実に素が自作小説をプレゼント(この小説名が虚なる器となる)→繭実が病気で死亡→仲良しの友達を失ってしまいショックで繭実に関する記憶を失う(この際 虚ろなる器も渡す相手がいなくなり未完に)→高校時代 先生と出逢った素は、既に繭実を失った後で、そのせいで無気力状態だった。 以降蜜柑本編

こんな流れかなと推測出来ます。一応先生が繭実の存在を認知しているので、記憶障害になったのは高校の途中からかも…
ですので、3つの話に登場する繭実は主人公が避けたい現実 記憶を消してまで忘れたかった思い人の死というわけですね… 故にイレギュラーとして出てくる繭実に対して無意識の内に拒絶反応を示していたわけです。


続いて希についてです。
希の正体は名の通り、「望み」 要するに素の願望が具現化した存在です。ですので その他の登場人物にモデルたる元ネタがいるのに対し希はオリジナルの存在でありハッキリ言ってしまえば単なる舞台装置に過ぎない訳ですね…
もっとも『『完全に』』オリジナルかと言えばそうではないのかもしれませんので次はそちらについて考察していきたいと思います。











繭実と希について②
上で繭実はトラウマの具現化、希はオリジナルの存在と言いましたが、果たして本当にそうなのでしょうか?

怨毒の塊やいつわりのおとこでは、双子 相反する存在等 少なからず繭実と希を同一無いし近しい存在とするような表現がなされていたように感じます。

では、希も実在した繭実が元ネタなのかというと疑問を生じます。記憶を自ら封じた主人公がわざわざ繭実の死を思い出すような情報を出さないはずだからです。つまり性格面などの小説という媒体にて情報の大部分を締める部分はオリジナルである可能性が高いです。
要するに現実にいて死んでしまった繭実の性格は、物語内の希とは真逆の可能性が高いと言えます。(明るい、儚げ、お淑やか等では無く イレギュラー扱いの繭実に似た活発 男勝り ヤンデレ気質?であった可能性が高い)


では、希の中にある繭実要素はなんなのか?
私は見た目であると考えました。希の見た目は、3つの話 全てで統一されたロングヘアとなっています。 逆に繭実はショート ロング ポニーテールとバラバラで安定しておらず、顔つきもそれぞれ大きく無表情 ホラー顔等 それぞれ異なっています。元ネタがいるのに、こうも不安定なのは不自然です。(現に元ネタのいる他のサブキャラも見た目は全て同じとなっています。)
即ち、こと見た目という一点に於いては希の元ネタが繭実(現実)であると推測できます。 見た目という同一要素があるため作中でも繭実と希を同一視する描写があるわけですね。過去回想のCGでは一見ショートカットのように見える繭実(現実)ですが、恐らく後ろで縛ったロングヘアでは無いかと私は考えました。













最終的な結論
今から書くのはこの記事を書いている途中で、蜜柑=未完という言葉遊びに気がついてたので急遽付け足した考察です。
(恥ずかしながら、プレイ中は全く気付かなかったですw 散々 虚ろなる器は完結していないと描写されてたんですけどね…)

まずタイトルが蜜柑(未完)の意味する事について考えてみましょう。
実は終わったと思われていた、「病床にて」「怨毒の塊」「いつわりのおとこ」の3作は完結していなかった…なんて事は無く ストーリー通り全てエンディングを迎えていると思われます。
では何が未完なのか?それは蜜柑という作品が未完 終わってないのです。
結末を迎えたのは、あくまで[虚ろなる器]であって[蜜柑]ではない、現実の素 繭実の死を乗り越え3つの物語の結末を描いた男の物語はまだ続くと言いたいのだと思いました。

要はめちゃくちゃ お洒落にした俺たちの冒険はまだ続いていくぜ!です。 最後の最後に伝えたかったのが人生に終わりは無いなわけです。良い終わり方ですね〜 個人的にすごく好みです。









総評
[総評]
凄い面白いわけでも、目立つシーンがあるわけでも、尖ったごく一部に刺さるシナリオでもありませんが 何処かじんわりと染み込むような作品です。
知名度的にも結構知る人ぞ知る的な感じで一定数の評価を得ているのも頷けます。 今回も考察を書いててとても楽しかったですし、こういったエロゲがこれからも発売してくれたらなと思わせてくれる一本でした。

アオナツライン 感想

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作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
発売したから、メキメキと評価点が上がっていき、それと同時に値段も上がっていった、戯画の当たり作品。王道中の王道を行く舞台設定とシナリオで小手先では無い真っ向勝負で高評価を得たのは素直に好感を持てます。
2021年現在でも若干プレミアゲーに片足突っ込んでる点からも一過性のものではないのがわかります。


[評価点]
シナリオ:A-
キャラ:A
ビジュアル:S
世界観:A
演出:B+
音楽:A
オススメ度:S

総合点 83点



感想
例えるならTHEど安定って感じの作品でした。 これやったらウケるんだろー?を実際にやって実際にウケた的な

内容もパッケージからの想像通りで、青春 もとい青夏の学生恋愛で思春期らしい悩みから来るちょっとしたシリアスとイチャラブ 前編通しての爽やかな雰囲気で進んでいきます。 でっかい大穴狙いじゃなくてちょこちょこ点数を稼いでいくタイプですので万人ウケもしやすいのが良いですね〜

自分も基本的には加点部分しか無いんですけど、一点気になった点が…
考察でも書くつもりなんですがテーマ性を重視するあまりの結末の弱さだけが残念でしたね。 後味悪し…とまでは言いませんがモヤモヤしたものは残るラストです。(特に唯&ことねルート 結局どうなったんって思ってしまいました。)


まぁ本当にこの点ぐらいしか大きく気になったのは無いですかね??(千尋の家族関係や主人公&海希の小学生時代の描写不足ぐらいかな?)
人気あるのも頷けるなって感じの内容でした!!!












考察

テーマについて
本作のテーマは「変化と前進」ですね。明言されてたのは海希ルートですけど他2人のシナリオでも、このテーマを軸に書かれていたかと思います。



先ずは「変化」について
海希は仲良し3人の解散、唯は転校、ことねは、アイドルを目指す…
ストーリー内で変化についての描写が多く見られました。(この他にも中学生時代の幼馴染と関係性や学園デビュー、決められたレールに自ら戻る等々 複数あります。)

次に「前進」
これが本作の難しいところ テーマが変化だけだったら楽だったんですけどね…
何が難しいかというと、アオナツラインのライターさんは、この前進という部分に大分こだわりがあるのか結末を描くとそれが到着になってしまい、進みが止まってしまうと考えているみたいなんですよね…

これが感想でも述べた気になった部分に繋がってくるんですけど、作中で述べられた問いに答えを出していないんですよ。上でも書きましたが答えを出したら歩みが止まる事になって進行が止まると。
ですから、ことねは結局あれだけ努力したアイドルデビューが出来たのか不明ですし 主人公は唯の隣で歩み続けられたのかも不明 千尋がバスケで全国大会に出場出来たのか? 幼馴染3人が2人と1人になっても問題は無かったのか?その結果は? 全部全部 分からないんですよ。 だってそれを描写したらそこで物語が完結 終わってしまう。アオナツ
『ライン』 が途切れてしまうんです。


結果、唯 ことねルートでは雰囲気としては爽やかスッキリなのにストーリー的に消化不良気味になってしまっているわけです。勿論ありがちなおまけストーリーや後日談などもゼロです。
諸刃のつるぎですね〜
テーマを取るか 後味を取るか ライターさんは前者を優先させたようですが…












海希ルート ラストについて
[テーマについて]で述べた ラストのモヤモヤ感を巧く解消したのが、海希ルート。
ここでは、最後に物語が始まる前 夏では無く春 4月時点でのキャラの視点にて締めくくります。 出会う前 最初の更に前 ラストにスタートを持ってきたという事です。

いやー本当に上手いことやったなって思いました。テーマ的にゴールはダメでもスタートは大歓迎なんですよ。結局何も解決して無いですけど、他2人と比較すると格段に読了感が増します。
読み手側は起こる事を全て知っていますから、キャラ視点での思いと未来を照らし合わせて今後の変化と進行に再度浸れます。良い締め方!













気に入った点について
細かい加点が多いと称した本作ですが、その中でも個人的に特大花火を打ち上げた部分があります。

それが中学時代の海希の心理描写 特に主人公との仲を友達にからかわれてキレたシーンです。 ここでの表現は本当に上手く、内心 好意的でありながらも思春期入りたてであるが故の異性への距離感が掴めていない所や恋愛への恐怖がこれでもかと詰め込まれています。海希が主人公&友達にキレた理由 たまたま幼馴染になっただけ 結局コレも正しいんですよね。 その大切さに気づいていないだけで…
海希も主人公がもしもクラスで目立つ立場だったら対応が変わっていたかもしれない点を良い。 好きなんだけど、クラスで目立たない所謂インキャよりの主人公とくっつくのが恥ずかしい 高校時海希ではあり得ない感情がテーマである変化を彷彿とさせます。

だからこその小学校時代の描写も必要だと思うんですよ。 高校時のギャップで読み手側を殴っていく 疎遠になった部分で殴ってくるのもアリっちゃアリなんですけど、やっぱ 仲良し小学校時代→疎遠中学時代→からの拒絶と
この流れが最高にあのシーンの良さを引き出せると考えますね。というか全体的に過去編がボリューム不足 今ですら個人的評価を爆上げさせてる一因ですから、もしココがもーっとしっかり書いてくれていたら本当に神作レベルだったかも… 惜しい











最終的に伝えたい事
最終的にライターにとっての「変化と前進」とはなんなのかについて考えていきます。

まず変化は良いことなのか悪いことなのか?作中でも変化で仲良くなっている一方疎遠にもなっています。 つまるところ変化とはした方が良い しない方が良いと言った現象では無く「「しざる終えない事」」なんだと思います。
嫌だ嫌だと思っても結局きてしまう事実 それが変化です。ならどうするか、そこで重要なのが受け入れ前へと進むことというわけです。 変化を恐れず自分の望む未来を手に入れるため今を精一杯全力で生きる。次のステップへと進む!これがライターの伝えたかったことなのかと思いました。











総評
[総評]
自分は、どちらかといえば終わりよければ全て良し派なので、アオナツラインのような最後が尻すぼみ系は評価が低くなりがちですが、そこを過去編でカバー
最終的に良作で落ち着いた的な感じですね〜
内容的にも初心者向けですし、近年パッとしない戯画としては、かなり頑張ってくれたかなって… 結構満足しましたw

わたのそこ、おきつみかみの 九段坂怪奇叢書 感想

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作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
サークルねこバナナから出た同人 伝奇ノベルゲー Omegaシリーズと違って単発モノ(の予定らしい…)なのでサクッとプレイし終えられるのが利点
Omegaや或るファのような小難しいポエムや意味不明な造語によるやり取りが殆ど無いのでサークルの雰囲気を掴むにはオススメの作品です。
結構短めで2〜3時間ぐらいで終わる感じでした。

[評価点]
シナリオ:B+
キャラ:B
ビジュアル:S+
世界観:A
演出:B
音楽:A
オススメ度:B

総合点 75点



感想
目立って面白い!って言える点は無いけど全体を通してのモチーフやテーマがずば抜けてセンスを感じた作品でしたね〜
現実の民俗学でも良く聞く、人魚伝説や実は怖い子守唄なんかを巧くストーリーに落とし込めてたかなって感じ
個人的に良いと思ったのは最終盤に出てきた、斬首台と通常の鳥居を混ぜ合わせたようなデザインの鳥居ですかね。これだけでもう一個エピソードかけそうなぐらいワクワクさせる設定!

残念な点はボリュームの少なさによる駆け足気味なところ… 登場人物が次々と死んでくっていう展開はいいんだけど、死ぬスピードがマジで早くてあれもうもう?って感じで置いてけぼりくらいガチ……
もうちょい尺とってキャラ付をしっかりしてくれたら死んだ時にあーってなるんだけどなぁ〜
磨けば光りそうな作品だけに残念











考察

人魚伝説について
本作におけるメインとなるテーマが人魚伝説です。ここでの人魚はありがちな不老不死の源や半人半魚としてでは無く、どちらかと言えばマイナーな予言獣として描かれていました。 予言獣で有名どころだと、人の頭を持った牛、「件」やら疫病を予言する「アマビエ」そして今回の元ネタであろう、女性の顔を持った魚である「姫魚」なんかがいますね。

これ以外にも人魚姫伝説の声が出ない設定やら、現代妖怪ことヒトガタ&ニンゲンなんかもモデルにしていそうです。


これらを組み合わせて、声を手に入れ(生贄としての人首を使い)人々に予言を行う人魚として本作に登場しているわけですね。
予言獣の多くが人面、人魚姫伝説の人魚は声が出せない、生贄の定番 人首を混ぜ合わせたのはセンスを感じました。元々は首が無いという設定が本当に面白いですよね… 一応自分なりに調べてみたんですけど、首なしの予言獣はいなかったので本作のライターオリジナルっぽいです。












首無き魚について
作中にて首無き魚と少女が恋に落ち駆け落ちする、おとき話が登場しますが、この伝承の意味について考えていきます。

まぁ十中八九、首無き魚=海からくるもの(アリエたち人魚を作った深海文明)ですかね。 伝承を説明する際に「首無き魚=エイに酷似」という描写もありましたし、EDムービーでの大トリを飾る 海からくるものらしき絵もエイっぽく描かれていることからも分かります。

結婚した伴侶である、少女の故郷を災害から救うために人魚を差し向け予言を伝えるといったところでしょうか?
まぁその災害の一部が自分たちのせいとはいえ…












人首について
首を切るという行為が作中にて、多く登場します。
首無き魚のおとき話でも少女の首を切って駆け落ちしますし、そもそもの本人も「「首無き」」と表現されています。
その他 登場キャラの過半数が首を切られ殺されています。 地元のお土産でも人首と… 更にはエピローグでは斬首台に似た鳥居まで出てくる始末です。
では、わたのそこという作品における首を切るといった行為はどういう意味を持つのか?

この問いについて重要になってくるのが、最後の最後 斬首台鳥居のある村に伝わっている子守唄です。
頭(こうべ)、頭(こうべ)よこせ〜という歌詞で本作品のテーマソングにも使われています。そして一見残酷なこの歌詞も正しい意味は全く真逆で



「「なんと愛しきものよ」」



このような意味合いを持つのです。
この子守唄は海からくるものによって伝わったものであるならば、つまるところ首を斬る=愛情表現 こうなるわけです。

元々首無き魚と表現されている生物ですから、彼らにとって首は身体構造的に重要では無いのかもしれませんね、人間が髪の毛を切って遺物にするような感覚なのかもしれません…












エピローグの意味
エピローグでは、アリエらニギこと人魚の伝承がある別の村についてのレポートが登場しました。
そもそものタイトルが九段坂怪奇叢書ですし主人公である九段坂山彦くんの怪奇叢書シリーズはまだまだこれからだぞという事でしょうね。オカルト系の調べものをしつつ、いなくなってしまったアリエを待つのでは無く、自ら動いて探し出してやろうといった意思が伝わってきます。
俺たちの戦いはこれからだENDではありますけど、最後に希望を見せてくれる終わり方は良いものです。










Omegaシリーズとの関連
まず毎度お馴染み “ねこざんまい“ 経由での同一世界観が示唆されていましたし、「空は天狗、陸は猫、そして海の人魚」とのテキストもあったのでクロスオーバー作品が出るのも期待出来るかもですね〜
なんにせよ次の新シリーズは天狗テーマで確定しそうですし、いくらでもエピソード作れそうなんで、わたのそこも続編がありそうですね〜 楽しみです。












総評
[総評]
本当に読みやすくなっているので人に勧めやすくなっているのが一番の評価点ですかね? 或るファ グザイは、相変わらずなので本作は意識して簡単にしてそう…
その分トゲが無くなって爆発力も少なくなったけど単発の短編ならそれでも良いのかな〜って感じの作品でした!

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