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ナルキッソス 1+2感想

作品概要・評価点(ネタバレ無)

[作品概要]
ステージナナの出したフリゲー
非常に有名&人気で続編製作やコンシューマ化もされています。
ジャンルとしては泣きゲーに属していて余命宣告 病人系のシンプルな設定とライターである片岡ともさんの死生観が魅力の作品です。

[評価点]
シナリオ:A
キャラ:B+
ビジュアル:B+
世界観:A
演出:B+
音楽:S+
オススメ度:S

総合点 83点



評価点詳細(ネタバレ有)













[評価点詳細]

・シナリオ:A
地の文が多く心理描写にメインを置いたテキストでした。
今回はナルキッソスとその続編にあたるナルキッソス2をプレイしましたが、2作ともテーマにしている部分が違っているので飽きることなくプレイすることができました。


・キャラ:B+
登場人物が多い割にインパクトが弱いキャラが多い気がしました。
作風的にあまり目立ったキャラにしない方がいいのは理解できますが、1の男主人公はもう少しキャラ付けしても良かったのでは…?とか思ったり。



・ビジュアル:B+
基本的に立ち絵なしの背景のみで進みますが、重要な場面でのCGはかなり出来がよかったです。
とはいえ数が少ないので、もう少し多くても良かったかもしれません。


・世界観:A
遣る瀬無さと優しが入り混じったような世界観
1は遣る瀬無さ成分が多いのに対し、2は優しさ成分が多かったように感じました…
片岡ともさんがライターですが、あまりねこねこっぽさは無く、新鮮な気持ちで進めることができました。




・演出:B+
凝ってはいませんが、味のある演出
黒一色のテキストボックスや立ち絵が無く背景だけで進む部分など余分なものをこそげ落として物語に感情移入しやすくなっていました。
個人的にお気に入りの演出は最初のCGが出てくるシーンです。「彼女が初めてまっすぐこちらを向いた」のテキストと同時に主人公と同じくプレイヤー目線でも初めてセツミのCGを見ることになるので序盤で感情移入するための掴みとしては最適の演出であったと思います。


・音楽:S+
本作で一番目立っていた部分です。
OP ED 挿入歌で合計4曲あり、BGMもかなり力の入っていました。
ボイスありver なしver選べるのもBGMのみで世界観を楽しむ事を意識した上での設定なのでしょう。


・オススメ度:S
フリーゲームで短く
設定的には重いですが、描写・展開的には比較的爽やかな気持ちでプレイすることができるので、ノベルゲー初心者の方にも、かなりオススメできる作品です。


感想

[感想]

ナルキッソス1

ナルキッソス1は2に比べて死生観成分が弱めにされていたように思います。
というよりもプレイしていて私的に死を死では無く1つの意思表明として表現されていたと感じました。
なぜ意思表明なのか?それはセツミの死が無意識に起こる死 避けようのない死ではなく、「自殺」という文字通り自ら選び取った死であるためです。
余命宣告を受け世界から拒絶され、拒絶された事を認めたくないがため期待する事をやめたセツミ。この考えは願いや夢があったとしても期待しない事挑戦しない事で、もしもあの時ああしていれば叶っていたかもしれないといった言い訳を自分自身にするためのものです。
100%叶う事のない夢だとしても、実際に試さなければ叶わないと確定することは無い、もしかしたら病気が治って水着姿でモデル雑誌のような笑顔でいる自分もいたかもしれない それぐらいしかセツミにできる幸せを感じる方法は無かったのでしょう。

しかし最終的にセツミはこの考えを捨ててしまいました。理想とはかけ離れていても笑顔で水着をきて撮影会をし、最後には自分の意思で自殺をしました。
期待しない行動しない挑戦しない
IFの自分を想像して準備をし続けるだけだったセツミが行った最初で最後の抗い
これこそ自意識であり最初に書いた「死=決意表明だと考えた理由です。
この作品のテーマは死生観ではなく自意識 以上がナルキッソス1を通してライターが伝えたかった事だと思いました。



ナルキッソス2

ナルキッソス2は1に比べて明らかに死生観について大きく触れておりハッキリとした泣きゲーとして作られていました。
それ故に前作に比べると演出過多というか、どこかクドい印象を受けてしまう方もいるかもしれません。
しかし個人的にメッセージ性といった意味合いではこちらの方が描写が多く
より顕著に感じる事ができました。

本作のテーマは死生観
特に「去る者と残されるもの」に重点を置いたシナリオとなっています。

2の主人公である姫子は、元ヘルパーの7F余命宣告者という設定です。
ヘルパー時代に友達となった女の子との死に別れた経験から去る者は残されたものを悲しませてはいけないといった考えを持つようになりました。この考えから妹を遠ざけたり、ルールに友達を作るなを追加したりしていました。
そんな彼女が前作主人公と仲良くする事を選んだのは、同じく病気持ちであり去る側にも残される側にもなり得る中途半端な存在 例外的な存在といった考えからだと私は考えました。
作中では明記されていませんでしたが、おそらく姫子にとってセツミはパトラッシュに近いポジションだったと思います。


・神様への文句を辞めた理由

終盤にて姫子は最後の願いである女の子を殺した神様への文句を結局辞めています。この理由はシンプルです。
もしも神を否定するならば、女の子が最後に神に願った残される人に笑ってほしいといった思いをも否定する事になるからです。
ブロッコリー嫌いやパイナップルの木など姫子は女の子が死んだ影響を色濃く受け継いでいます。そんな彼女が女の子の子を否定する事など出来るはずもなく最終的に友達を作るなのルールも撤廃しています。
この際ロザリオをセツミに渡していないため自殺=神への謀反=女の子の思いを踏みにじる事になるため恐らく自殺もしてないと思われます。



●まとめ
ナルキッソス 1+2 全体としての軸は思いの「受け継ぎ」だと言えます。
ナルキ2で姫子は女の子の思いを「受け継ぎ」そんな姫子の思いをナルキ1でのセツミが「受け継いで」笑って死んでいきました。
エピローグではナルキ1の主人公が、そんな彼女の死に際に感嘆し、7Fのルールに笑って死ぬ事を付け足しています。
そして姫子の妹である千尋がそのルールを主人公から「受け継ぎ」次へと伝える決意をして物語は締めくくられています。セツミは思いを手に入れた事で「受け継ぎ」を可能にしましたし、姫子は友達を作る事で「受け継ぎ」を可能にしました。

この2人は最後には幸せを感じて死んでいます。よって去る人は、なにかを残される側に渡すべきであり 残された側はその渡されたものに意味を見出すべき。
この行動こそ両者ともにしあわ幸せになるための方法だ…
本作が最終的に言いたかったのは、このような事であると私は感じました。










総評
[総評]
安定したシナリオに抜群の雰囲気
人気が出たのも納得です。
プレイ時間が短く 空いた時間にサラッとプレイでき、感動できる。
そのようなゲームを求めている人に是非プレイしてもらいたい作品です。

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