雨音と自動人形感想
(評価点)
[評価点]
シナリオ:B+
キャラ:B
ビジュアル:A
世界観:B+
演出:A
音楽:S
オススメ度:B+
総合点 73点
(感想)
いわゆるオーソドックスなアンドロイドモノでしたね。
ストーリーに関しては、今一歩と言った感じ… アンドロイドが人へと成長するといったコンセプトは感動しますし個人的にも大好きなんですけど、やはりボリューム不足が目立ちます。
また、アヤの成長以外にも三月の母親関連や病気 途中のホラー要素など正直要素盛り込みすぎかなーと思いますね。1〜2時間で纏めるので有れば一個大きな主軸を決めた方が読んでて感情移入しやすいかな… それかボリュームを増やすかですねー
ストーリーが少し難ありな一方で演出やCG、OP&EDは凄い評価できまね〜アヤの目に光が宿るシーンなんか凄い良かったですし、少し闇感のあるキャラデザと退廃した世界の相性もバッチリです。ラストCGでは明るい色合いで雨が止んでいる演出も対比が効いてましたね。
あと驚いたのがEDです。普通にめっちゃいい曲でした!
(考察)
⚫︎テーマについて
まぁ一番のメインテーマは、「成長」ですかね。ここでの成長とはアンドロイド→人間への成長です。
本編始まって、まず思ったのがアヤがあまりアンドロイドっぽくないな…なんですよね。会話も声優さんの演技もすごく人間くさく表現されていました。要するにバス停前で博士を待っていた時点でのアヤは殆ど人間へと「成長」していてあと一歩踏み出せない状態だったんだと言えますかね。
アンドロイドやらロボットモノの定番ネタの一つに人間とアンドロイドの違いがよく焦点に当てられていますけど、本作では感情の有無が2者の違いとして描かれていました。つまり感情センサーが導入されている、アヤ及び雪村はいつでも人間へなれる状態だったわけです。そして本編ラストにてとある壁を破って二人は人間へと成長したわけです。
⚫︎とある壁について
上で書いた二人が破った壁とはなんなのか…?
私は「ロボット工学3原則」だと考えました。
ロボット工学三原則とは
第一原則:ロボットは人間に危害を加えてはならない
第二原則:第一原則に反しない限り、人間の命令に従わなくてはならない
第三原則:第一、第二原則に反しない限り、自身を守らなければならない
…以上の3つからなるSF小説家アイザック-アシモフが提唱した原則で以降創作物で頻繁に使われるロボットAIモノのお約束みたいなものです。
プレイした人は気づくと思いますが、最終盤アヤが初めて自分の意思で博士の命令を拒否して頬を叩いた場面にて、アヤは第一と第二
博士の記憶の媒体となる事を嫌がり逃げ出した場面と自らを犠牲にアヤに博士の記憶を伝えた場面にて、雪村は第二と第三を破っているんですよね。
ロボットの守るべき規則を自らの意識で破った
この瞬間に二人は人間になったのだと思います。
⚫︎気になった点について
批判…とまでは行かずとも少し気になった点が二つありました。
一つ目はアヤの涙について
創作物に置いて機械の涙ってかなり重要な要素の一つだと思ってるんですよね。ですけど本作の涙って割とあっさり流すんですよね。しかも特に涙について触れる描写が無いんで、少し意表をつかれましたね。
そのせいで博士に好きだと伝え抱きついたCGの涙の特別感が薄れてると思うんですよね。涙が割と簡単に流れるなら流れるで、この流すシステムについての詳しい説明とかがあっても良いかなと思います。雪村の目を移植したことで(涙を流す機能のある目になって)泣けるようになったとかでも面白いかもですね。
二つ目が雪村≠博士であることです。
シンプルに目が見えるようになった事で今まで話していた男が愛する博士であると若干…のが流れてして綺麗だなと思うんですよね。そこで捻って博士とは別人格の雪村ってのも面白いってのは理解できるんですけど、やっぱ作品全体として王道をなぞるストーリーだったんで、最後も王道のままでもよかったかなと…
(総評)
[総評]
全体の完成度が高いだけにどうしてもアラが見えてはしまいますが、フリゲである事を差し引いても、中々に凄い作品ではあると思います。
製作者さんの次回作が楽しみです。